INTERVIEW
YAMAMOTO RYOYA

山本亮也

かねがさき山本ファーム 代表 https://www.instagram.com/rio_yammy/

略歴

高校卒業後に工場勤務。2021年、羊との出会いに感銘し、翌年農場を設立。

-現在の仕事についた経緯-

コロナ禍で休業が続いていた時、羊農家でアルバイトをしたことをきっかけに、羊のまだ周知されていない底知れぬ魅力に魅せられました。それと同時に諸外国と比較し、日本では圧倒的に馴染みの薄い生き物だという現実を知りました。
しかしそれは偏に日本の気候やその他の環境要因と誤解からくる不当な印象によるものに過ぎず、決して羊自体に問題があるわけではないということに気付きました。正当な評価を取り戻し、無限とも言える魅力を日本全体に発信していける仕事をしたいと考えるようになりました。
ニッチな業界だからこそ発信方法も多種多様、ビジネスとしてのやりがいや将来性も十分だと思い、自ら起業して若い力で新たな視点から業界の新時代を牽引していきたいと強く思うようになり、農場設立を決断しました。

-仕事へのこだわり-

動物を扱う業種はなかなか思うようにいかないことだらけで、毎日が勉強です。
日々の体調管理、飼育管理はもちろんですが、時に思いがけない行動に出たり、想像もしていなかった問題が起きるのが動物です。
その中で羊業界というものに足を踏み入れたのですが、例をあげますと羊は病気に比較的弱く、寄生虫などによる感染病によくかかります。食肉として人間に害がある物ではないのですが、集団生活をする動物のため伝染もします。
特に羊において難しいのが、牛など他の家畜と比べて非常に我慢強い性質があるということです。そのため明らかに体調が悪そうだったり歩行に支障が出てきたりする頃には、病状は手遅れなことが多いです。こういった点から日々の健康観察には特に気を遣っています。
現在経営方針として、食肉と羊毛という二本の柱を立てて営業していますが、どちらにおいても言えることとしては、『良いお肉』『良い羊毛』以前に、健康的でストレスの無い『良い環境』作りが何よりも重要且つ永遠の課題だということです。そしてそのことが何よりも『良い牧場経営』につながるのではないかと信じています。
また、僕は幼い頃から動物が大好きで、今でもよく休日に一人で動物園や水族館に行きます。見ているだけでとても癒されます。実際、動物好きをそのまま職業にしてしまったと言っても過言ではないのですが、お世話をしているとより愛おしく、愛着ももちろん湧きます。
しかし我々は食物連鎖の頂点に立つ種として、そんな彼らの『いのち』を頂いて生きているというのも事実です。
お肉にして出荷する際はもちろん思い入れや辛さもありますが、1頭1頭感謝を込めて『ありがとう』と『行ってらっしゃい』で送り出すことを心がけています。
そういった生産者の思いが一人でも多くのお客さんに伝わるような仕事を今後も続けていきたいと思います。

-若者へのメッセージ-

僕自身が若者という立場で恐縮ですが、自分の経験からお話しします。
生産業というのは全てにおいて原点だと思います。僕は何事においても、立ち止まった際にはまずは原点に立ち返り、そこから見える様々な視点に目を向けます。原点というものを非常に大切にしているのです。
始める前に何事も吟味して慎重に、ということではありません。思いつきで行動して失敗してしまっても一から考え直すことによって必ずその失敗も意味のあるものになります。
成功や失敗に限らず、日々の生活において物事の『そもそも』に目を向けていると、色んなことが見えてきて楽しいですよ。