INTERVIEW
YAMADA SO

山田創

一般社団法人Studio Biwako 理事長 https://studiobiwako.com/

略歴

1981年滋賀県生まれ。立命館大学理工学部卒業後、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学へ2年間の研究留学を経験後、市役所に勤務。市役所では環境部と企業局を経験した後、観光部署において主に国際交流及びMICEインバウンド推進事業に従事。観光行政で培った様々な知識・経験を地域に還元したいという思いで一般社団法人Studio Biwakoを設立。

-現在の仕事についた経緯-

これまで市役所職員として主に観光部署に在籍し、観光交流基本計画の作成やインバウンド推進事業等に従事する中で、地域の様々な課題に関する気づきがありました。
これらの課題を解決するためには、特定の事業者を支援することを含め、行政職員の立場では実施できないアプローチが必要であると感じました。
そこで法人を設立し、これまでの行政職員としての知識・経験と、法人の強みである語学力やデジタルを活用し、持続可能な地域社会の実現に貢献したいと思ったことがきっかけです。

-仕事へのこだわり-

公務員時代から、常に現状把握と課題認識からの課題解決というサイクルを心がけてきました。入庁した当初は、市役所の様々な業務の無駄に疑問を感じました。
そこで個人的に取り組んだのがデジタル活用です。
例えば、報告書を一つとっても、国・県・内部用等で書式が異なり、同じ報告内容であるにも関わらず資料作成に膨大な時間を要することが多々ありました。そこで、エクセルのVBA(Visual Basics for Application)を活用し、1回の入力で複数の報告書を作成できるマクロを構築しました。また、異常値や誤入力をハイライできる機能を加え、作業時間の短縮と事務処理ミスの防止を達成することができました。
その後、コロナの影響で市の全体予算が削減される中、当時在籍していた観光部署においてHTML、CSS及びJavaScriptを使用したHPの構築(自作のため経費はゼロ)を担当し、デジタル技術とWebマーケティングを学びました。得られた専門的な知識・経験を、人事異動に伴う一過性のものとして終わらせるのではなく、地域観光の促進や社会貢献事業に役立てたいと思い、法人を設立致しました。
当法人では、デジアルアート、Webプロモーション、観光ガイド事業を組み合わせ、地域の課題解決を目指した新たなビジネスモデルを展開しております。地域の中小企業や個人事業主を主なターゲットとし、特に観光関連事業者や個人観光ガイドの支援等に重点を置いております。
また、今後様々な分野でデジタルやネット(メタバース、NFTやWeb3.0)が主流となっていく中で、地域の事業者が取り残されないようにニーズに合わせたきめ細やかな支援サービスを提供させて頂きます。

-若者へのメッセージ-

少子高齢化が進む日本において、経済を健全に維持するためには、地方自治体も例外なく、外国資本の積極的な取り込みが必要です。観光産業は製造・精密機器に続く第3の基幹産業であり、とりわけインバウンド(訪日外国人観光客)誘致は重要な事業です。
また、観光産業に関する消費者のニーズは目まぐるしく変化しており、特に今後はWeb3.0(次世代のインターネット時代)を迎え、DXやデジタル技術等の活用が重要になってきます。
そのような状況において、地域の関連事業者等が新たな時代の波に取り残されないように必要な支援を行うことを目的に法人を設立しました。
公務員でありながら、事業活動を行うということは正直大変です。
まず、公務員の兼業については一定の制限が定められています。しかしながら、当法人のように営利を目的とせず、諸々の条件をクリアすれば収益事業を行うことが可能です。
ご自身の強みを活かして、ボランティアではなく、プロ意識を持って事業に取り組めることの意義は非常に大きいと感じております。
現在公務員の方も、これから公務員を目指される方も、平均寿命が男女共に80歳を超え、定年退職が延長される中、当法人の活動がご自身の「想いをカタチに」できるような挑戦を始める一助になれば幸いです。