INTERVIEW
UENO RYOHEI

上野遼平

SUPER BENTO ENTERTAINMENT株式会社 代表取締役 https://www.super-bento.com/

略歴

京都府出身。高校在学中の2013年、映画監督の河瀨直美のプロデュースにより映画『瘡蓋譚 -カサブタタン-』を初監督。2014年、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭に当時史上最年少で正式出品を果たす。その後、慶應義塾大学在学中より、主にプロデューサーとして劇場公開作品を10作以上、他にもドラマやMVなどを多数手掛け、2023年6月、娯楽映画・ドラマ専門のエンターテインメント会社、SUPER BENTO ENTERTAINMENTを立ち上げる。

-現在の仕事についた経緯-

高校生の時に、学校生活に閉塞感を感じ、社会との接点を持つために何かを作ってみたい!と思い立ち、映画を監督してみることにしました。
本当はバラエティの放送作家になりたかったのですが、テレビという産業ベースよりも映画の方が自主映画が作れる分、高校生にも参入の障壁がなかったため、映画を作ることにしました。
その後、作った作品が映画祭で上映され、そのままこの世界に足を踏み入れました。
大学入学を機に上京し、映画業界を知っていく中で、プロデューサーという仕事に出会い、大学に行きながら映画をプロデュースするようになりました。就活は特にせず、高校生からそのまま地続きのキャリアを歩んでいます。
早くにやりたい仕事に運よく巡り合えたとも言えますが、本当は放送作家になりたかったので、成り行きとも言えます。

-仕事へのこだわり-

まずは、人と違うことをしたい!という気持ちを大事にしています。でも、人と違うということは、なかなか受け入れられ難いこともあります。みんなと同じような物を作る方が、結果に対するある一定の安心感はあるでしょう。
でも僕は「自分がやる」ことの意味を人に説明出来ないような仕事は、自分がやる必要のない仕事だと思っています。それは何もクリエイティブの世界だからではなく、会社員だとしてもそうしていたと思います。
これだけだと頑固に聞こえるかもしれませんが、一方で僕は「観客が楽しむかどうか」を第一に考えて作品を作っています。自分の芯を通すことと、観客の反応を考えて作ることは、僕の中では矛盾しません。
なぜなら僕が映画を作る目的は、自分のエゴを吐き出すためではなく、ポップコーンをバリバリ食べて、コーラをズルズルすすって、みんなにスクリーンに夢中になって貰うためだからです。
僕が起こしたSUPER BENTO ENTERTAINMENTという会社は、娯楽映画・ドラマに特化したエンターテインメントを作る会社です。
何か小難しいことについて考えさせたり、何かを訴えるために映画を作るつもりは全くありません。「JUST ENJOY!」です。ただ楽しんで貰った先に、お客さんのひとりひとりが、好きなように何かを感じてもらっていいし、何も感じなくても、コーラとポップコーンのお供になればいいと思っています。
「ワイルド・スピード」が「ドライブ・マイ・カー」より低俗な映画だと考える価値観は、映画好きの中で一定の割合いると思いますが、僕はその考えには真っ向否定的です。カッコイイ車のレースが見たい、でいいじゃないですか。そんなつもりで観たら、意外と「仲間の大切さ」みたいな部分に感動しちゃった、みたいなことの方を僕は大切にしたいです。

-若者へのメッセージ-

僕はプロデューサーとして様々な監督と密にやり取りをしながら作品を作り上げていくのですが、沢山映画を観てきた人と、そうでない人では、明らかに仕上がりに差があります。
ここで言う「沢山映画を観たかどうか?」は数の話ではなく、「自分の好きなジャンル以外のものも観る」ことです。
今は機材も手軽になり、いい映像が撮れるようになってきていて、それらしい物は意外に作れちゃいます。だけど、好きなものしか観ていない人は手数が少なく、融通が効かないのです。
これは映画の話に限らず、何事においても、とりあえず知識があるかないかの差は大きく、「とりあえず知識がある」だけで、自分と考え方の違う他人が言っていることがより深く理解出来るし、いざという時の対応力もUPします。
夢だけじゃメシは食えません。何事にも現実が伴い、実践において大切なのは、いかに柔軟な思考が出来るかです。
僕は辛気臭い系の映画が嫌いですが、そんな映画を観たり、作ったりした時に得た知識が、自分の分野で生きてくることもあります。食わず嫌いをしないこと!!!