INTERVIEW
TSURUTA MISA

鶴田みさ

オープンマインド 代表/心理学博士/公認心理師 https://openmindpsy.com/

略歴

横浜雙葉高等学校卒、一橋大学法学部卒。1995年よりニューヨーク在住。ニューヨーク大学、ザ・ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチで心理学の専門の学位を取る。2015年に心理学を中心とする個人事業を立ち上げ、主に大人の心理療法を行う。顧客には英語を話す外国人も多い。公認心理師。著書に『多文化マインド』(ギャラクシー出版、2020)がある。他論文や学会発表等多数。

-現在の仕事についた経緯-

20代前半、大卒後就職したものの、あまり自分がやりたいことというのはハッキリしていませんでした。
それがアメリカ(ニューヨーク)に行く機会を得、英語はある程度できたもののコミュニケーションがうまく取れなかったり、友だちがいなかったりで、自分が心理療法を受けることになりました。
学部時代心理はやっておらずまったく知らない世界でしたが、幸い出会った人が良く、やっているうちに「これは面白い!ぜひ自分でやりたい」と思うに到りました。
そこから現地の修士課程に出願したところ、すぐ入学許可がおり、学び始めることができました。
アメリカ・カナダでは「臨床心理士」になるには博士号が必要なため、出願の時点ですでに博士課程まで行くことは考えていました。

-仕事へのこだわり-

新人時代というより現在の仕事(心理職)についてですが、まずアメリカで大学院に入った際授業1回で必ず1回は発言するということを心がけました。後から知ったのですが、アジア系の学生は頭は良くても授業に参加(発言)することは少なく、「アジア系の沈黙」と教育方面で言われるくらいであり、大学院で認知してもらえる足がかりになったと思います。
また、修士時代はともかく、さすがに博士時代だとなんの準備もしない訳にも行かず、必ず2時間くらいは予習し、ある程度問題点を意識した上で授業に臨みました(アメリカ大学院では授業1時間に対し2時間の勉強が必要と言われており、授業は1回2時間に対し2時間は少ないとも言えたかもしれません。)
こうしたスタイルは、今でも問題点を予見し、proactiveな姿勢をとり続けるという意味で役立っているかと思います。
また、そこにすでにある、形ができたものを活用するよりはオリジナリティを目指してきました。例えば、博士論文を書くためにすでに大学院・病院にあるデータを活用できたのですが、それではなと思い、自分で一から考えたテーマについて、データも一から収集する形で行いました。そのため、余計に時間がかかったという側面はありました。
心理療法は経験から学ぶものです。そのため、接することのできる人からは学んできたと思います。
心理療法というのはマニュアル的なものではなく人により性格、特徴、アプローチなどは無限にあります。当時、非常に恵まれた環境でさまざまなロールモデルが周りに存在したことは、貴重な経験・環境だったと思っています。
またその際、さまざまな人種・民族の人たちと接してきたことは今でも活きていると思います。

-若者へのメッセージ-

正直、「若者」という言葉には違和感がありますが、それでもやはり人生経験や人生での立ち位置というのがあるのは現実でしょうか。月並みですがやはりやりたいことをやっていく、ということかと思います。
やりたいこととはダラダラするとか、おいしいものばかりを食べるといったことでなく、人生を賭けるに値するようなことです。
ただしその際に、親や先生、学校、世間などが言う「これがいい」「これをやるべき」をいったん除外して真剣に自分に聞いてみるのがいいと思います。特に日本は、親や先生などが勝手にこれが良いと判断してレールを敷いている場合が多く、なにか違ったことをやりたいとちょっと言っても一蹴されたり、取り扱ってもらえなかったりすることも多いと感じています。自分の本当の「声」はかすかなものかもしれません。
状況的に、すぐにはできなくても調べてみるとか、できることから始めてみるとかして少しずつそちらの方向に動いていくということが大切かと思います。そして、やりたいことが分からないとか、なかなかやれないというときは何らかの「ブロック」があるということなので、ぜひカウンセリングを活用していただきたいです。
もし仕事(収入)になりにくいと思うのであれば、まず趣味や副業としてやってみるのがいいかと思います。