INTERVIEW
TOMIOKA ISAO

富岡功

株式会社StartupScaleup.jp 代表取締役 http://startupscaleup.jp/

略歴

早稲田大学政治経済学部卒業。SEからキャリアを出発、合計8つの新規事業立ち上げを経験。携帯電話端末メーカーで、全米1000万台出荷を記録する音楽ケータイの先祖に当たる機種の企画に携わる。あるIT企業で、自ら企画に加わったSaaS事業のソフトウェア開発本部長を務めるかたわら、IoT・AIを使った新規事業立ち上げの顧客開発チームに参画。デロイト トーマツ コンサルティングで、クライアントにリーンスタートアップの手法をメンタリング、新規事業を立ち上げていただく新しいコンサルティングパッケージを作り上げ、翌年度億単位の売上を立てる。新規事業開発のコンサルティング専門の株式会社StartupScaleup.jp起業後、東邦ガス様の新規事業開発チームをアイディエーションから支援、スキルを絶賛される。事業開発者の一人ひとりに向き合い、気づきを促すことで、世界が羨む日本を創り出すことを目指している。

<現在の仕事についた経緯>

ソニーエリクソンモバイルコミュニケーションズにて、海外向けフィーチャフォンのS700iという新規プロダクト開発に携わり、製品リリース後、ロンドンに渡航、その地下鉄の駅にS700iの広告が出ていて感激し、これから一生新規事業開発にかかわっていこうと決心しました。
事業開発にこだわり続けてキャリアを歩むうち、世の中に誤った新規事業開発の方法論があまりにはびこっているために日本の新規事業開発がうまくいかないのだと痛感することになり、世の中を変えたいという強い気持ちを持ちました。
世界最先端の新規事業開発メソッドを日本に広げ、日本の企業にイノベーションに成功していただくと同時に、海外市場で戦える多くのスケールアップを創出することで、日本の経済を発展させることを目指しています。

<仕事へのこだわり>

仕事へのこだわりは「自分が本質だと思ったことは貫くこと」です。
ある事業会社で新規製品開発のプロジェクトマネージャだったとき、その製品が世に出ても売れないと確信した時点で、知財を競合の某海外大手に売り払うことをプロジェクトスポンサーの経営幹部に進言したことがあります。
また、別の企業に、同じく新規製品開発のプロジェクトマネージャとして雇用されたときも、入社3か月目に「このサービスは売れないから、事業を売り払いましょう」と上司に提案しました。ここだけ聞くととんでもないことを言っているように感じるかもしれませんが、自分の進言を受け入れなかった結果、いずれもその事業は失敗し、価値が下がってから売却されています。

新規事業開発を行っているご担当者様に対し、「そのまま進んでいけば失敗します」と本質をしっかりと伝えてくるアドバイザーが業界に少ないため、新規事業が失敗するケースが多いと感じます。
私は、ご担当者様が自分の事業アイデアに愛着を持っていることを承知の上で、自分の経験と知識から、これが本質だと思ったことを伝え、気づきを与える存在でいたいと常に思っています。クライアント企業に本音を言わず、その事業が失敗してもこちらがコンサルティングフィーを儲けられさえすればそれでよい、とは決して考えません。

幸いなことに、顧客や周囲に、私のコアなファンを自称して下さる多くの方々が生まれてきています。それは、ここまで的確に本質をとらえ、伝えてくるアドバイザーはめったにいないと評価されているということに加え、同じプレゼンをしても、意外なストーリー展開で聞き手を楽しませる「富岡節」と呼ばれる独特の話し方によって生まれたと思っています。

「富岡節」で新規事業開発の本質を伝える試みの集大成に当たるのが、2023年6月に個々の事業開発者にBtoCで提供し始めたばかりの、「インキュベータートレーニング」という、「動画」+「オンラインで直接指導」から構成される研修プログラムです。
いままでBtoBで提供してきた「インキュベータートレーニング」では、既存企業の事業開発者たちに、本当の意味で役立つ新規事業開発のノウハウを習得いただいてきました。過去通算で1,000人以上が受講してくださり、「新規事業開発がうまくいかない理由を、体系的に知ることができた」「バイアスがかった考えを客観的にとらえるいい刺激になる」「架空の話でなく、実例ばかり多数紹介されているので、説得力がある」など、数多くのありがたいフィードバックを頂いています。
これからも、経験者による、本質的な新規事業開発メソッドを日本に広め、日本企業をイノベーティブにする努力を続けていきたいです。