INTERVIEW
TERAO AKEMI

寺尾明美

特定非営利活動法人ギフテッド 理事長 http://www.npo-gifted.com/

略歴

看護師、保育士として病院や保育園で働く。上越市に今までなかった重症心身障害児や医療的ケア児が利用できる重症児デイサービスを作るため、2021年にNPO法人ギフテッドを設立。同年5月にSMiD(重症児)デイサービスSoraを開所する。著書に胎内記憶の絵本「おもいだしたよ」(リーブル出版)や合同著書「やりたいことをやると決めた女たちの覚悟の瞬間」(Rashisa出版)がある。

-現在の仕事についた経緯-

看護師や保育士として働く中で様々な子どもたちと出会い、さらに自身の子供4人の子育てをする中で、「良い母にならなければ、良い子どもに育てなければ」と頑張りましたが、現実は思い通りにならず、理想の自分になれないことに罪悪感を感じて、常に自分を責めていました。しかし胎内記憶に出会ったことで、子どもが自分を選んできたことを知り、子育てが楽になりました。
そんな中で、障害があるという理由で選択肢が狭まっている子どもたちやお母さん達に出会い、自分ができることは何だろうと考えた時、地域に今までなかった施設を作ろうと決意しました。
子どもたちやお母さん達を変えるのではなく、どんな人でも受け入れてくれるような優しい環境や社会になれば、みんなで子育てができるようになるのではないかと考えました。それは、苦しんだ過去の自分を救うことでもあって、そういう優しい社会に自分が生きたかったという希望でもありました。

-仕事へのこだわり-

とにかく上下関係に悩まされてきたので、自分の会社は上下関係を作らないようにこだわっていて、ピラミッド型からアメーバ型の会社にしようとみんなで協力しています。アメーバはしっかりとした核を持ち、それぞれが自由に横に広がったり、手を伸ばしたり、凸凹で常に形を変えます。それでいて、ひとつの完全な生き物として成り立つところが自分たちらしいなと思います。
また、若い人達が上司の圧力で意見が言えなくなることのないように、常に話ができる環境にしようと思っています。評価やジャッジはなるべくなくしたいと考えており、才能を輝かせられるような取り組みをしています。
ギフテッドという社名は、世間で言われている「選ばれし天才」といった感じではなく、「みんな特別で、それぞれに輝く個性がある」という意味です。それは子どもも職員も自分もみんな一緒で、持ってきた宝物を大事にできる会社でありたいと思っています。
なので、職場はとても自由な空気で、職員さんは理事長である自分にも、バンバン意見を言ってきますし、むしろ理事長自身が完璧ではないので、職員さんがどんどんしっかりしていきますね(笑)
違った意見であっても学ぶことが多いし、それぞれの意見を排除せずに認め合うことや、自分も管理職として別の場所にいるのではなく、常に現場目線を意識しています。

-若者へのメッセージ-

これからの時代は、自分が先頭に立って会社を大きくするよりも、覚悟を決めた若い人達が率先して立ち上がって思いを広げていくことが理想だと思います。会社は箱で見える物だけれど、それよりも思いを社会に広げるような、見えない物にこそ価値を感じます。だから会社を大きくしたいとかはあまり思わなくて、思いが社会に広がる方が嬉しいです。誰かの心を楽にできたら、それが一番嬉しいですね。
好きな言葉で「隣に花を持たせよう。自分に花の香りが残る。」というのがあって、常に人に繋いでいきたいという思いがあります。人が輝いていくことの方が嬉しくて、自分のモチベーションにもなります。だから、若い人達の夢や思いを聞いていると嬉しくなるし、どうしたら実現するかを一緒に考えていきたいです。
たぶんこれからは既にあるものではなく、0から1を生み出すようなアイデアがどんどん生まれていくのではないかと思います。
ぜひそんな今の時代こそジョンレノンの「イマジン」を聞いてほしいです。ギフテッドのシンボルマークの上には、「イマジン」からの一節「世界は一つ」とメッセージを込めました。
一人一人がみんな大切な存在で、素晴らしい存在なんだと気付いてほしいと思います。死なないように生きるのではなく、命を輝かせて生きてほしいです。