INTERVIEW
TANAKA YUTA

田中悠太

株式会社REYONA 代表取締役 https://reyona.co.jp/

略歴

近畿大学理工学部卒業。新卒で大手の機械系商社に入社後、1ヵ月で退職。その後、ベンチャー企業に転職し、10ヵ月の海外駐在を経て英国へ留学。帰国後、2015年にフィリピン首都マカティ市でWEB開発の会社を起業。2018年頃からはDX支援やソフトウェア開発にも参入し、日系企業の顧客が増えてきたことから2023年に大阪で日本法人を設立。

-起業した経緯-

私が起業に興味を持ったきっかけは、学生時代を過ごした環境です。
当時「海外」や「起業」という言葉に触れる機会が多く、そのような道で活躍される方々と接する中で自然と自分も行動するようになりました。
そして大学を卒業する頃には以下3つの起業コンセプトが自分の中で決まっていました。
・最初の起業は海外
・自己資金(失敗確率は高いので他人は巻き込めない)
・起業国のマーケットと相性の良い事業(成長性)
上記3つのコンセプトで起業するための方法やタイミングを探りながら資金を貯めていると、転職2年目でフィリピン駐在が決まり、チャンスだと感じました。
とにかく駐在期間中はフィリピン市場で事業化できることを探しまくり、最終的にWEB・IT分野に可能性を感じたことが直接的な起業の経緯となりました。

-仕事へのこだわり-

私は、仕事にも「遊び心」を大切にしています。
昔から遊ぶことが好きでした。小学生の頃は山で洞窟を探して迷子になったり、ヒッチハイクで帰宅すると母親に怒られたり。特に、隠れて小学校区の境界線を自転車で超えたときの興奮は忘れられません。
ただ、成長してもやっていることは同じでした。学生時代は和歌山県の無人島を貸し切って学生イベントを開催したり、ヒッチハイクで2ヵ月以上かけてアメリカ大陸を踏破したり、フェリーに自転車を積んで韓国に渡ったり。
これら全ては私の思い付きや好奇心で他人を巻き込んできましたが、この行動の裏には常に誰かを「楽しませたい」や「感動させたい」という気持ちがありました。
私にとって「遊び心」とは、自分がワクワクしながら他人の喜ぶことを考えるプロセスです。
この考え方は顧客と良好な関係を築くことに大きく役立ちます。
仕事というのは依頼された事だけをやっていても当然、誰も喜んではくれません。また、深夜や休日を返上して無給で働き、受注していないものまで提供するのも違います。技術や商品力だって他社と比べて際立った差があるわけでもありません。
では、お客様にどう喜んでもらうか?
ここで、私は「予期しない感動」を与えることが重要だと考えています。
以前、IT顧問契約を頂いている顧客企業と外資ベンダーのミーティングに同行したとき、当日の資料を前日中に入手して日本語翻訳したものを持参したことがあります。顧客企業の担当者は英語が苦手ということを知っていたので当日会議が始まり、英語の資料が配られると同時に私が日本語版を手渡したらさすがに状況が呑み込めず、驚いていましたが、後で事情を話したら大いに喜んでおられました。
依頼された製品やサービスを提供するのは当たり前で、それに+αの「感動作り」を常に心掛けて仕事に取り組んでいます。

-若者へのメッセージ-

今後、10年、20年と非常に難しい時代に入ります。
特に外国人労働者やAI技術の発展は特別な能力や技術を持たない日本人にとって、大きな脅威となります。2019年に政府が特定技能制度を創設したことで外国人労働者の数は確実に増加します。
AI技術は現状、まだ研究段階と言えますが、既に大手企業はAIの活用を本格化しており、単純業務のデジタル化は進んでいます。このAIの業務レベルは年々、飛躍的に向上しており、近い将来、多くの業務が外国人労働者とAIに奪われてしまうのではないかと考えています。
このような時代に備えて若い世代の方は、次のような人材を目指すと良いと思います。
・AI技術の発展に寄与できる人材や実務で活用して成果をあげられる人材
・マネタライズ視点で企画(創造)できる人材
・日英のコミュニケーション能力に優れた人材
最初のAI人材は今後の戦力になることは容易に想像できすが、製品や技術は売って世の中に貢献しなければ意味はありません。そのために限られたリソースの本質を見極めて企画できる人間は重宝されます。
一方、英語はAIの強みと思われるかもしれませんが、商談相手が人間である以上、自分の英語で伝える力は絶対的に求めれます。
私はフィリピン法人を所有しており、自分の英語で商談しますが、通訳を雇い、商談が上手くいかず撤退した企業オーナーや投資家は山ほどいます。
ただ、何事もすぐにできるわけではないので、一歩を踏み出してコツコツ前に進んでいくことが非常に大切です。