INTERVIEW
SUZUKI YOSHIKAZU

鈴木喜計

君津システム株式会社 代表取締役 https://www.kimitsu-system.com/

略歴

1951年千葉県君津市生まれ。1973年ー2004年、君津市技術吏員。31年間同市環境部に奉職。その間、大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・振動・騒音などの調査研究・健康影響・防止技術開発に専念。大気汚染リモートセンシングシステム・騒音振動自動計測システム・環境保険サーベイランスシステム開発。1980年から地下水盆管理と土壌地下水汚染課題に特化した研究者、我が国の地質汚染調査浄化の創始者、土壌環境基準策定(環境庁)、廃棄物共同命令(厚生省)、微生物産業利用(通産省)などの政府委員、東京大学先端技術研究センター客員研究員、千葉県史執筆委員などを歴任。2004年、君津システム株式会社を起業。

現在の仕事についた経緯

昭和45年に公害関連法が制定された我が国ですが、当社は基準制定や運用解釈にも稚拙さが付きまとったものの昭和末期までに大気汚染や水質汚濁はほぼ解決が図られました。
一方、それまで空気や水に排出された有害物質は、母なる大地が受容しましたが、ドラ息子たちは気付くことが無く、昭和50年代末期には各地で土壌・地下水汚染などの地質汚染が頻発しましたが、調査手法も対策手法も皆無でした。
持ち前の「無ければ創ってやろう」が奏功し、3年も掛けずして調査・対策の手法開発と実証を終え、平成元年から日本地質学会で教育普及を継続し1000余人の研究者や技術者を世に送り出しました。
平成14年法律第53号の土壌汚染対策法は、工場廃止や閉鎖を契機に調査・対策を取る仕組みに限られたもので、他の環境法とは異色と言えます。同様に、最終処分場設置では住民同意を許可条件と盲進する住民や行政担当者を、水源涵養機能の著しく高く立地不適切と断言できる山林地域に誘導しています。残土処分も同様です。
「環境ビジネス」の術語があります。本来、環境とビジネスが両輪で廻ってこそ環境保全や環境創造が実現できますが、私の目にはそのように映った現場はありませんでした。斯くして奉職から32年目を迎える直前に「地球環境保全は私のライフワークだ」と首長に直談判して職を辞し、理念・技術力・研究心を有する教え子だけを迎えて君津システムグループを創業しました。

仕事へのこだわり

地質汚染対策に限らず、我々は多くの環境問題に直面しています。その中でも廃棄物の最終処分場・残土処分そして農業生産は土や水など取り巻く自然環境が同じであり、必要となる工学的技術も共通するものがあります。
地質汚染解決の第一人者としてこれらに注力するには鈍足の感あれど、健全な土と健全な水、さらには健全な空気を誇れる国作りのために尽力し続けます。
環境問題を解決して保全を維持するためには、正しい理念とそれに基づく知見・手段を駆使しなければなりません。その行動こそが社会貢献であるとの思いを常に大切にしています。

若者へのメッセージ

残念ながら今後も続く少子化ですが、チャンスと捉えるべき時です。これまでの人口数量によって経済力が決まる構造からの脱皮を模索すべきであり、付加価値の高い技術力の創出と高品質を生む国民気質の二刀持ちで日本再生に向けスタートしてください。
大切なことは基礎教養を修め、リテラシーを養い、応用力を発揮できる習慣を身につけること。そうでなければ、自らの責任のもと、正しい判断力と行動力を活かすことはできません。学歴はむしろ不要であり、それに頼るものではないでしょう。
我々の時代に比べ“もの”は沢山揃っていますが、話題のAIも含め、これらの道具を使いこなして来たる日に備えてください。準備を怠らなければ、各自に“その時”が来ます。