INTERVIEW
SUZUKI KATSUHIRO

鈴木克寛

新宿中央会計事務所 代表 https://shinjukucentral.com/

略歴

東京理科大学理学部卒業。事故による怪我から5年間のリハビリ生活を経て、公認会計士試験に合格し、大手監査法人に入社。2018年、独立。現在は新宿中央会計事務所の代表として税務申告やコンサルティング業務など多方面で活躍中。

-現在の仕事についた経緯-

22歳の時に事故で右腕が不自由になり、5年間のリハビリ生活を強いられ、社会経験のないまま20代後半を迎えてしまいました。このままでは就職先が見つからないと思い、試験に合格さえすれば就職できるような資格試験を探したところ、司法試験と公認会計士試験が選択肢として残りました。
司法試験は法律家としてのキャリアを積んでいくことが必要になりますが、その当時は特段法律に興味があったわけではありませんでした。それに対し公認会計士試験は、会計分野だけでなく経営学等も学ぶことができ、ビジネスの専門家として監査法人で働くことも、一般事業会社で働くことも、独立して開業することもできます。
やりたいことが特に決まっていなかったため、将来の選択肢が多い公認会計士試験を利き腕の逆の腕で受験することを決意しました。

-仕事へのこだわり-

新人1年目は、会計知識やITスキルのある先輩・上司の成果物や仕事の進め方をマネするところから始めました。単なるマネでは無く、完コピに近かったと思います。あまり丁寧に教わることができる環境ではなかったため、目で見て盗んでいました。
2年目以降は、ただマネするだけでなく、よりブラッシュアップできる余地がないか疑いながら日々の業務に取り組みました。ブラッシュアップするにしても、そもそもの知識がないと何も気づくことができないため、仕事が終わった後に大きな書店に通って何かヒントになるものがないかよく探していました。
また、後輩に対しては、自分があまり丁寧に教えてもらえず苦労したため、親身になってスキルを伝えることを最優先しました。サービス業はお客様を最優先とすることが多いと思いますが、私の中ではお客様への優先度を100とすると、後輩への優先度は101というイメージです。
もともと離職率の高い業界であり、労働環境が悪いというネガティブな理由で退職する人が多かったため、少なくとも私のチームに配属されたメンバーにとっては居心地の良い労働環境にしたいと思い、教育の徹底や、作業の自動化による労働時間の短縮などに取り組みました。結果として後輩はのびのびとスキルを伸ばしていき、監査法人内でも異例な程スキルレベルの高いチーム作り上げることができました。当時の後輩達も現在では起業したり、会社の役員になったりと、ネガティブではなくポジティブな理由で監査法人を退職して活躍しています。
独立開業した現在の会計事務所も、IT化によって人間が手を動かす必要のない作業を削減し、「労働環境世界一の会計事務所」を目指して試行錯誤をしている日々です。

-若者へのメッセージ-

全力で何かに取り組む経験をしてほしいと思います。もちろん体調やメンタルに支障をきたさない範囲での全力です。それが仕事でもスポーツでも勉強でも芸術分野であっても何でも構いません。
私は飛び降り自殺に巻き込まれるという事故に遭って利き手が不自由になり、強制的に5年間のリハビリ生活を強いられました。不幸な事故の様に聞こえますが、今では事故に遭って良かったと心から思っています。
リハビリ生活を経て強靭なメンタルを手に入れましたが、これは完全に後天的なものです。利き手が右手にもかかわらず左手で公認会計士試験を受けることになりましたが、リハビリ生活の方がストレスレベルが高かったのでそれほどストレスは感じませんでした。大手予備校の先生によると利き手の逆で公認会計士試験に合格したのは日本で1人目と言われました。
自分の限界に近い経験をしたことで、リミッターが外れたのだと思います。私の周りでも何かに全力で取り組んだ経験のある人は「向上心」「行動力」「メンタルの強さ」が明らかに違います。なるべく若いうちに経験することで、経験後の人生が長くなるので、何か全力で取り組めるものを探し、体験してほしいと思います。