INTERVIEW
SUGIOKA IKU

杉岡郁

アクチュアライズ株式会社 代表取締役社⾧/CEO https://www.actualeyes.co.jp/

略歴

大阪府立大学(現、大阪公立大学)経済学部卒業。吉富製薬株式会社(現、田辺三菱製薬株式会社)に入社、営業部門(MR<医薬情報担当者>、営業所長)を経験したのちライセンス部門へ。その後、アストラゼネカ株式会社(ライセンス担当)、ラクオリア創薬株式会社勤務(ライセンス担当)を経てOISファーマパートナー合同会社を起業したのち、アクチュアライズ株式会社の代表取締役社長&CEOに就任。著書に「医薬品販売提携のすべてー成功の秘訣は何なのかー」(株式会社シード・プランニング)がある。

-現在の仕事についた経緯-

大学卒業後に製薬企業(吉富製薬株式会社)に入社し営業部門(MR<医薬情報担当者>その後、営業所長)の担当でしたが、吉富製薬株式会社と株式会社ミドリ十字との合併時にライセンス部門に移動となり、それ以来、現在まで25年ほどの間ライセンス関連の仕事を行っております。
ライセンス部門は一般の方にはなじみの薄い仕事かもしれませんが、事業開発部門などとも呼ばれ、医薬品の特許などの知的財産権にかかわる仕事です。
医薬品の研究開発および商業化には特許などの知的財産権が必須のもので、ライセンス部門はこの知的財産権を有効に活用するように種々のビジネスを組み立て、実行する部門です。具体的には他社の化合物を導入(特許インライセンス)する、自社の化合物を他社に導出(特許アウトライセンス)するなどが一例です。

-仕事へのこだわり-

現在、私はアクチュアライズ株式会社(同志社大学発の眼科バオベンチャー企業)の代表取締役社長&CEOとOISファーマパートナー合同会社(医薬品ライセンス関連コンサルタント)の代表社員を兼務しております。アクチュアライズおよびOISファーマパートナーともに究極の目標は新たな治療(薬剤や治療法)を患者さんに届けることです。
具体的にはアクチュアライズでは点眼剤(目薬)や#再生医療(培養角膜内皮細胞注入療法)による難治性の*角膜疾患治療の研究開発を行っており、近未来の商業化を目指しております。OISファーマパートナーでは医薬品のライセンス関連で種々の企業をコンサルタントとしてお手伝い(セミナー開催やコンサルタント業務)することによって、新医薬品を患者さんにお届けする一助となるように取り組んでおります。
医薬品企業において研究部門は最も創造的な仕事であるといわれておりますが、一社のみでは容易にその研究開発の取り進めや、実現すなわち商業化できないのが現実です。
その原因は経済的な問題(大きな必要経費や将来の売上予測の不足など)、純粋に科学的な問題などいろいろと考えられますが、ライセンス部門はこれらの問題を第三者(パートナー)とのライセンス契約や協業(共同研究開発など)などで乗り越えられる部門であり、その役割は研究部門同様に創造的であります。
時に人はビジネスで得られる早期利益などの中間段階での成功に目を奪われがちですが、私は患者さんのもとに新たな治療(薬剤や治療法)を届けるという最終目標に向かって日々、仕事をしていきたいと思っております。
#再生医療:病気やけがなどで機能を失った組織や臓器を修復、再生する治療のこと。(メディカルノートより)
*角膜:目を構成する層状の組織のひとつであり、透明である。最も外界に近い部分に位置する。(ウィキペディアより)

-若者へのメッセージ-

私が携わってきたライセンス業務は海外との交渉が非常に多いものですが、昨今のポストコロナ時代になり、海外出張して直接顔をあわせる面談よりもビデオなどのコンタクト手段の方が有効な手段として認められてきているような風潮を耳にします。
私は個人的経験からなのですが、ビデオミーティングに比べて、直接に顔をあわせる面談の方が交渉の見地からもディールの成功確度が高くなると思っております。
また、若手の頃より世界に出て一流の人々と直接議論し交流および交渉することによって、世界レベルの経験や知識を備えた人間に成長できるのではないかと常々考えております。
この年齢になっても米国出張し最先端の科学者やビジネスパーソンと議論すると数多くの新たな知見が得られますし、また頑張っていこうという気にいつもなります。
皆様、若手の方々も含めてどんどん海外に出て仕事しようではありませんか!