INTERVIEW
SHIZUMA KEISUKE

静間佳佑

指揮者

株式会社セレーノ・ミュージック
エンタープライズ
代表取締役 https://serenomusic.jp/

略歴

兵庫県立長田高等学校、大阪教育大学芸術専攻音楽コース卒業。第27回京都フランス音楽アカデミー指揮クラスにて最優秀賞を受賞し修了。

2016年より関西在住のプロ演奏家を中心に結成された室内オーケストラ、セレーノ・チェンバーオーケストラの音楽監督を務める。2019年には、日澳修好150周年の記念コンサートにて、オーストリアのウィーンでのオーケストラ公演を指揮。

2021年に自身が行ってきた事業をまとめ法人化し、株式会社セレーノ・ミュージックエンタープライズの代表取締役となる。

これまで、自身の演奏活動と並行して「音楽家による新たな社会貢献活動の創造」をライフワークと考え、コンサートやイベントの企画プロデュース、教育プログラム作りにも力を入れ、オーケストラや吹奏楽、室内楽などの分野において、延べ350公演以上の企画運営を行う。

近年では、音楽と福祉の関わり「音福連携」を自身の新たなテーマとして、音楽業界にとどまらず、人が生涯に渡って音楽と共に豊かな人生を送ることができる地域共生社会の実現を目指して活動している。

現在、株式会社セレーノ・ミュージックエンタープライズ代表取締役、特定非営利活動法人KOBE CHATS理事、NGO SESCO理事、音楽家未来創造Lab主宰、おんがく楽団in阪神間指揮者。

-現在の仕事についた経緯-

もともと、小さい頃は何をやっても続かない飽き性な性格でした。そんな私が、飽きることなく続けられたのが音楽でした。

そのまま大学まで音楽を専門で学び、「絶対に大好きな音楽を一生続けてこれを仕事にする。プロの演奏家になる。」と意気込んでいました。

いざ、社会に出て音楽の仕事をさせてもらえるようになった時、自分が感じている本質的な音楽の価値が、今の日本社会にはあまり理解されていないように感じました。

音楽家という職業の在り方も、現代の感覚や世の中の仕組みに合っていないことが多く、本当はとても大きな才能のある人材が音楽活動自体を辞めてしまわざるを得ないような場面を多く見て、このままではいけないと、とても悔しい気持ちになりました。

何か自分にできることはないかと問い続け、できることをやり続けてきた結果が、今の全てです。

-仕事へのこだわり-

芸術をやっていると、自分の表現したい世界に浸りすぎて相手が見えなくなることが多いですが、「仕事をする」という点では「誰にどのように喜んで頂くのか」を明確にするよう意識しています。

ただし、表現者が顧客に対して表現内容を妥協せざるを得ない形になると、良いものは絶対に生まれないので、表現者の実力が十分に発揮される環境作りも大切にしています。

これは、どんな仕事にも共通するように思います。

オーケストラの指揮をする時も、自分の表現したい世界を明確に提示した上で、その場にいるオーケストラメンバーの一人一人の個性や特徴を掴み、全員で同じ方向性を目指しながら、その瞬間に各人から最高のパフォーマンスを引き出せるよう最善を尽くしています。

オーケストラの演奏だけでなく、チームで仕事をする時は、チームメンバーが最大のパフォーマンスを出せるよう、一人一人の個性を理解してそれぞれの強みを活かせるよう、環境づくりなどの配慮を心がけるようにしています。まだまだ全然できていませんが。。

また、自分自身の強みを活かして、誰かの役に立てるような仕事を見つけることも大切にしています。

そのために、できるだけ周りの人がしていないようなことに挑戦しようと思ってやってきました。

その発想を根底に持ちながら、意図せず自分の前にやってくるチャンスにきちんと目を向けて、運やご縁も大切にするように心がけています。

-若者へのメッセージ-

偉そうなことを言える立場ではありませんが、一つだけ伝えるとすれば、自分の「ワクワク感」を信じて挑戦して欲しい、ということです。

周りの大人の意見や、失敗した後のことを最初から気にしていると、何にも挑戦できないままに時間が過ぎてしまいかねないのです。

人生にとって一番恐ろしいことは、挑戦して失敗することではなく、「挑戦すること」を知らないままに歳を重ねてしまうことだと思います。

10〜20代の間はどんなことをしても、熱意でなんとかなると思いますので、ふと思い立った時に自分の直感を信じて、まずはやってみることをオススメします。

なにもやってみたいことがないという人は、巡り合わせを信じることです。目の前に急に現れてくれたチャンスや他人からのお誘いには、ちょっと頑張って一度乗ってみて下さい!

その後、自分の直感でピンとくるか来ないか判断すればいいのです。

この世に生まれてきた人間には、誰しも何らかの役割があるものだと思います。そうやって、目の前に拓けた道をとりあえず進んでみることで、だんだん自分のことが分かってくるように思います。

僕自身もまだまだその道半ばです。

大切なのは、人生の道はもうすでに最高の結末が決まっていると信じて、あとはその道を自分の足で前に向かって歩くかどうかだけなのではないかと思っています。