INTERVIEW
SHIOTA KAIHEI

汐田海平

シェイクトーキョー株式会社 代表取締役社長 https://www.shake-tokyo.jp/

略歴

横浜国立大学卒業後、映画、CM等の企画・制作・プロデュースを行う。2020年、経済産業省「コンテンツ海外展開促進事業」に選出され、日本映画の国際化を推進する若手プロデューサーとしてロッテルダム国際映画祭やベルリン国際映画祭に派遣される。帰国後、シェイクトーキョー株式会社を創業。企業や自治体の発信をサポートする事業を開始し、ブランディング動画やプロモーション動画を制作している。主なプロデュース映画は「佐々木、イン、マイマイン」(東京国際映画祭選出)、「西北西」(釜山国際映画祭選出)、「蜃気楼の舟」など。

-現在の仕事についた経緯-

高校時代に映画の魅力に取り憑かれて以来、エンタメやアートに関する仕事に就きたいと思うようになりました。私以外の家族全員が医者という環境で、医学の道に進むことを考えたこともありましたが、意を決して尊敬する先生のもとで映画評論を学べる大学を選びました。
在学中から映像制作に没頭し、アルバイトで映画やCMの制作現場も経験する中で、自分で会社を興したいと思うようになりました。フリーランスで6年、共同経営で3年を経てシェイクトーキョー株式会社を創業しました。動画制作とSNSが好きなので、その知識や経験を使って企業や自治体の発信やブランディングをサポートしながら、映画への出資なども行なっています。

-仕事へのこだわり-

仕事のやり方では、傾聴を意識しています。
プロモーションやブランディングなど、企業や自治体の“発信”をお手伝いする上で最も大事なことは顧客理解だと思っているからです。動画にしてもSNSのキャンペーンにしても、ある程度雛形があるものですが、はじめからどのフォーマットに当てはめようかと考えて仕事をすることは、せっかく期待して仕事を預けてくれた顧客に対して失礼な気がします。まずは話を聞くことから全てのコミュニケーションを始めること。顧客の持つストーリーやメッセージを理解した上で、自分の持つ技術や知識を用いていくような専門家でありたいと常々考えています。

また、長い間自分は仕事ができないという気持ちと、やれば絶対にできるはずだという気持ちを行ったり来たりして悩んでいました。そんなことを考えて仕事をしており、ストレスを常に抱えていたので、ある時一度しっかり原因に向き合うことにしました。
よくなかった点は、得意なことと苦手なこと、どちらに対しても頑張りすぎていたことだったと思います。頑張ることは、それ自体が評価をされがちですが、不得意なことを頑張りすぎてしまうことで誰かに迷惑をかけることもあると思います。自分ができることを把握して、それ以外の点を任せられるメンバーを探し、いかに身内に対して誠意を尽くすことができるかどうか。自分にとってそんなに簡単ではないですが、そんなことを考えて日々挑戦しています。

-若者へのメッセージ-

“やりたいことを仕事にしよう”なんて散々こすられた言葉ですが、その言葉の真意は“やりたいことで誰かの役に立とう”だと思います。私の場合は自分の技術やスキルをクライアントのために使うこともありますが、映画をつくるときは観客のためであったり、一緒に働く誰かのために使ったりします。
まだまだ役に立つ場面は限定的ですが、もっと広く深く、役に立てる技術に磨きあげようと思っています。誰のためでもいいと思います。まだ会っていない誰かのためかもしれません。“やりたいことを誰かのために”そういう気持ちで捉え直した時に、ヒントが見つかりました。