INTERVIEW
SHIMIZU KAZUKI

清水和輝

株式会社POI 代表取締役 http://poi-global.com/

略歴

高校生の頃に昆虫食に目覚め、野山で昆味を確かめる日々を送っていた。これまで食べた種類は100を超える。昆虫食の普及啓発のための講演を開催し、これまで東京スカイツリー、東京ビッグサイトなどの大舞台でも実施。活動は経済思想家・東京大学准教授の斎藤幸平さんの書籍「ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた」(KADOKAWA)に収録されるほか、小泉進次郎元環境大臣ともインスタライブで発信。2022年、東証プライム上場のアパレル、トウキョウベースの取締役を歴任した高嶋耕太郎氏が起業したシルク(養蚕)のプロダクトを世界に発信するスタートアップ・株式会社NEXT NEW WORLDで昆虫食担当の取締役を務め、在学中の活動の集大成として開発した「シルクパン」では昆虫食のクラウドファンディングの記録を塗り替える260名超の支援、170万円を達成。2023年6月にこれまでの活動を近畿大学発ベンチャー・株式会社POIとして事業化し、創業。

-現在の仕事についた経緯-

高校の授業でイナゴの佃煮を初めて食べて以来、そのおいしさに感動して、昆虫食に目覚めました。その後、地元・奈良で開催された昆虫食の講演会で、昆虫食の第一人者、内山昭一さん(昆虫料理研究家・NPO法人昆虫食普及ネットワーク理事長)の話を聞き、昆虫食を発信してみようと思い、YouTubeを始めました。昆虫食の社会的意義について考えはじめたのは、斎藤幸平先生(経済思想家・東京大学准教授)にコオロギ料理を振舞ったことがきっかけでした。
その後、高嶋耕太郎氏(元アマゾンジャパン部長、元トウキョウベース取締役・株式会社NEXT NEW WORLD代表取締役)が設立したシルク(養蚕)を世界に発信し、気候変動対策を行うスタートアップで昆虫食担当の取締役として1年間事業に参画し、ビジネスについて本格的に意識することになりました。
その後、シルクのパンを開発し、クラウドファンディングで昆虫食では異例となる260名の支援者を獲得し、金字塔を打ち立て、これまでの取り組みや活動を事業化し、近畿大学発のベンチャーとして認定を受け、創業しました。

-仕事へのこだわり-

20歳になるまでは、何となく『意識の高い』フリをしていたのかもしれません。ただ、何をしたら良いのかは自分でもよくわかりませんでした。振り返ると、そんな自分には何度か転機があったように思います。一つ目は本物の昆虫食の知見に触れることとなった業界の第一人者、内山さんとの出会い、二つ目は昆虫食の社会的意義について改めて見つめ直すきっかけとなった斎藤先生との出会い、三つ目はビジネスについて意識するきっかけとなった高嶋さんとの出会いです。
これはもしかしたら、一度だけの『こんにちは』の名刺交換で終わってしまっていたかもしれません。しかし、せっかくの出会いを次につながるような関係へと発展させ、チャンスに変えていく、何らかの形にしていく、そうしたことをこれまで心がけてきました。
チャンスはそう何回も巡って来るものではありません。『棚からぼたもち』と言いますが、ぼたもちが落ちて来る棚を見極め、落ちる場所をしっかり目星をつけておかなければ、もちは地面に落ちてしまいます。
二度と巡ってこない一度限りのチャンスをしっかり見逃すことなく掴み取るために、決断を迫られた時にはとりあえずやる、ということをモットーにしてきました。断ることも時に重要ですが、今はまだ経験値も高くないことから、いろいろ悩んで考えるのではなく、後先考えずに『やります!』と言うことにしています。
今後も出会いを大切にしながら、チャンスをしっかり掴みとれるよう取り組んでいきたいと考えています。

-若者へのメッセージ-

自分自身も学生でまだまだ若者ですが、ありがたいことに活動や取り組みを通じて、社会の第一線で活躍されている皆様にお会いできる機会があります。
もちろん、時代により価値観や背景は異なるとは思いますが、少なくも皆さんがその時代背景において課題や困難を乗り越えられてきたからこそ、ご活躍されているものと思います。未来の自分からのメッセージと捉え、尊敬できる皆さんからのご意見はしっかり受け止めることにしています。
ただ、言葉は簡単には信じないことにしています。口先では何とでも言えます。態度や行動でしか表せないと思っているので、人を見る際は、言動ではなく行動を見るようにしています。
学生だから注目してもらえることはあると思います。そこは甘えさせていただき、今しかできないことをかけがえのない時間の中で後悔のないようにしてみてください。