INTERVIEW
SHIBA RANTARO

芝蘭太朗

Louis Lancome Realty株式会社 代表取締役/社長執行役員 https://www.louis-lancome-realty.com/

略歴

大学卒業後、地元の地方銀行に入行。融資実務を経験後、2014年から大手建設会社にて土地活用の営業を6年半経験。建築請負額の営業実績20億円を達成し、功労賞受賞。2022年から独立。

-現在の仕事についた経緯-

土地活用の営業マンだった頃、私が在籍していた沖縄支店の営業成績は全国約220支店中1位で、支店長や課長の営業成績も全国トップ10以内にランクインしている方が多くいました。つまり、沖縄にいながらハイレベルな基準で仕事をしていたのです。そのような恵まれた環境で働いていたからこそ、上司や先輩から学ぶことが多くありました。
ついには、工事請負契約額の営業実績が20億を超え、功労賞を受賞するまでになりました。ビジネスの中心地東京で自分の実力を試してみたいと思うようになり、東京の不動産会社に転職しました。今よりも自分が成長するだろうという期待をしていましたが、その期待通りにはいかず、現実とのギャップが大きすぎて営業成績も振るいませんでした。
営業で成果が出ないのは、自分の責任なのか?それとも自分以外の外的要因が関係しているのか?自問自答する日々が続きました。私の結論は後者でした。そして、独立することを決意。独立して、売り上げが0なら自分の営業力が無いことを意味し、そうでなければ東京で営業成績が出ないのは外的要因によるものだということになります。結果は、東京で営業成績が振るわなかったのは、自分以外の外的要因でした。

-仕事へのこだわり-

仕事では「できない・やっていない・知らない」という言葉を使わないようにしています。この3つの言葉は、仕事における自己の成長を妨げる危険な言葉だと思っています。

まず、「できない」という言葉について。さまざまな方法を試して検証した結果、「できない」という結論に至るのは仕方がありません。しかし、思い込みや過去の経験則で即座に「できない」と判断したり、できない理由ばかりを探しているようでは、仕事をする意味がありません。
私自身、会社員時代に担当した案件で、工事請負契約後に色んな問題に直面して着工できるかどうか分からない現実に何度も直面しました。しかし、着工しなかった案件は1つもありません。すべて完成時満室で物件を引き渡すことができました。
権利関係者や役所に何度も足を運ぶときに、どのような伝え方をするか?話し合いの落としどころをどこにするか?を考えたり、寝る時間を削ったり、休日返上で色んなことを調べたりするなど、どうやって問題を解決するかを考え抜きました。
周囲の人が勝手にできないと思っていることを、何度も「できた」に変えたという経験が、自信につながりました。そもそも、自分が立てた仕事の目標を達成できるかどうかは、他人が決めることではないと思っています。弊社の企業理念は、私のこの経験が基になっています。

次に「やっていない」ということについて。仕事の「怠慢」が原因で「やっていない」は論外です。自分だけでは解決できない問題に直面して、「やっていない」なら上司や先輩に報告するべきです。そして、解決策の助言をいただくなどして、やっていない原因を早期に解消するべきです。実は、「できない」と「やっていない」は、上司や先輩に報告・連絡・相談する絶好のチャンスです。何が問題になっていて自分の仕事が進まないかを相談し、アドバイスをいただきながらコミュニケーションをとれば、自ずと信頼関係も構築できます。
そして、忘れてはいけないのが、アドバイスをいただいた上司・先輩への結果報告。問題が解決したのか、そうでないのか?仮に解決しなかったとしても、次のアドバイスや今回の取り組み方の改善策など、助言をいただけるはずです。そのようなことを繰り返すことが、仕事が上達する一つの方法ではないかと思います。

最後に「知らない」について。仕事をするにあたって、「知らない」ということは罪だと思っています。知らないなら、調べるあるいは専門的なことならその道の専門家に聞いて頭に入れるなど、知識の吸収に貪欲になるべきです。もちろん、知っているだけでは意味がありません。その知識を実務で活かし、仕事の成果に繋げなければなりません。「知っている=できる」と勘違いしている人がいますが、「知っている=できた」を意識するべきです。知識を吸収すると「やればできる」という気持ちになりますが、大事なのは実際に行動して「やればできる」を「やったらできたに」変えることです。

仕事で問われていることは、やったらできたという「結果」です。その結果を出すために、「できない」「やっていない」「知らない」という言葉を使う機会を減らしていくことを意識して仕事をすると、今までとは違った自分に出会える日がくると思います。

-若者へのメッセージ-

今の時代、ハラスメント等が問題になり、上司や先輩が厳しく指導することが難しい時代になっています。それは、甘えや怠けを容赦なく指導されなくなるといことです。私が会社員をしていた頃は、自分を厳しく律することができない大人であっても、甘えや怠けを厳しく指導する人がいました。だからこそ、自分に甘い人間でも脱落することなく、仕事でそれなりの成果を出せた時代です。またそのような厳しく指導する人は、信じてついていけば、ある程度の高いレベルまで自分を引き上げてくれる指導責任を、頼もしく引き受ける人でもありました。

しかし、今はそのような時代ではありません。厳しく指導されないということは、言い換えれば、「自分で考えて仕事を創り出す」ことが求められ、成果を出さなければなりません。より高いレベルに上がるかどうかも、完全に「自己責任」です。もちろん成果を出さなくても、誰から何も言われることはありません。つまり、自分で考えて仕事ができる人は、どんどん成長しますが、そのような能力がない人間はそのまま放置されるということです。結果的に、二極化が著しい世の中になります。
「成果を出す人」は、ライバルが減り、仕事が増えることでどんどん成果を出し、さらなる高みを目指すことになります。一方で、「成果を出せない人」は、それはすべてその人の自主性の結果なので、救済されることはありません。指導する側も、監督責任や指導責任を負わなくて済むため、優しい言葉を並べ、フィードバックする際も楽観的観測を述べたりするようになります。

私は、「自律」という言葉は、「自由」と「規律」の略語だと思っています。会社員時代は、規律を教え込まれた上で、自分で考えて仕事をしてきました。しかし、今は自己管理能力が低い人でも、自分で考えて仕事を創り出さないといけないという、ある意味では、かなり酷な時代だと思います。
世の中の倫理的水準が高くなることによって、「厳しさ」というものが駆逐されています。そのことは、「自分で考えて仕事を創り、成果を出せる人」にとっては良い時代かもしれません。しかし、そうでない人には誰も手を差し伸べないという、酷な時代でもあるということです。そのことを肝に銘じて、日々の仕事に励んでいただきたいと思います。