INTERVIEW
SEKO RYOSUKE

瀨古亮介

中央開発株式会社 執行役員 経営企画センター長 https://www.ckcnet.co.jp/

略歴

法政大学卒業。大手上場企業に営業職として入社。東京の外資系5つ星ホテルに駐在し、ホテルとの交渉業務等を担当、3年後に中央開発に入社。建設コンサルタントとして、地盤調査や行政の防災計画策定支援を経験。2018年に公益財団法人 河川財団へ出向。河川総合研究所研究員として、調節池整備のための事業検討や河川維持管理業務に携わる。2021年に執行役員に就任。2023年よりグループ会社の日建商事株式会社の取締役を兼ねる。

-座右の銘-

為せば成る、為さねば成らぬ何事も

-仕事へのこだわり-

「技術をもって社会に貢献する」
1978年に打ち立てられたこの社是をキーワードに、当社は国家を代表するプロジェクトの数々に貢献してまいりました。
21世紀に入ってからの実績の一例を紹介すると、海ほたるや風の塔で有名な東京湾アクアラインを設計するための地盤調査を行ったのが当社です。また、東日本大震災で被災された南三陸町の復旧に際してまちづくりの基本修正設計も行っています。
当社は2026年に創立80周年を迎えます。少し気の長い話ではありますが、100年企業を目指すにあたって私個人が大切にしていることを2つ紹介します。

1.積み上げられた社風を大切に
当社では歴史のある企業としては珍しく、風通しが良くフラットな社風があります。私も入社数年目には上司に意見をしておりましたし、全社的に「建設的な意見は立場を問わずどんどん発信するべき」という雰囲気があり、優れた提案であれば新入社員の意見も取り入れられています。
当社の直接のお客様は国や官公庁、大手企業が中心ですが、当社の技術で作られた都市や土木構造物のエンドユーザーは市民の皆さまになります。
我々コンサルタントの仕事では、数名のスペシャリストが事業の全体像を把握し、徹頭徹尾、真摯に対応していくことが大切です。しかし顧客目線で、より高い品質の成果品を納めようとするとこれだけでは不十分です。
コンサルタントの成果品の品質は、多くの社員が議論をして試行錯誤を行う中でこそ、向上していくものだと考えています。

2.one for all , all for one
建設コンサルタントは、サービス業のうちの一つであり、目に見える商品を売っているわけではありません。我々コンサルタントの商品は、「社員そのもの(が有する専門知識)」となります。
商品の価値を高めるには、個々の社員のスキルアップや人間力の向上を図るしかありません。こうした魅力的な社員に多く在籍してもらうため、会社は社員を大切にし、社員は自らの会社を誇れる、「エンゲージメント」の関係を大切にしていきたいと考えています。

-若者へのメッセージ-

「あなた自身の価値を高める」
私自身、就職活動ではリーマンショック後の就職氷河期を経験しています。2011年卒の大学生・大学院生の就職内々定率は49.7%。2人に1人以上の学生は、卒業時に進路が決まっていない状況でした。
私自身も就職活動の際は、多くの企業から断られた経験があります。現在、縁あって人事部門の責任者をしていますが、当時からこれまでの自分を振り返りながらアドバイスをさせて下さい。

社会に必要なものが何かを見極め、あなた自身の価値を高めて下さい。
仕事でも研究でも、必要とされる能力や経験は、あなたがなりたいものによって違います。何かに挑戦することや、新しいことを始めるのに、“遅すぎる”ということはありません。
20年後、10年後に“こう成れたらいいな”という自分を、漠然とイメージしてください。そこから逆算して、10年後にこう在るためには、5年後、3年後、1年後にどうなっていないといけないか、チェックポイントを設定してください。これは仕事の立場でも構いませんし、勉強やプライベートの目標でも構いません。
そうすると、1ヶ月後、あるいは今日にでも始めないといけないことが見えてきます。こうして積み重ねてきた経験の一つひとつが自分自身の価値を高めてくれます。

現在、世界はVUCAと呼ばれる『予測不可能な時代』にあります。
リーマンショックも、新型コロナウイルスの流行も、ウクライナ侵攻も、誰もが予測できなかったことです。
通う学校が来年閉鎖されるかもしれない。会社であれば倒産する可能性もあります。
弊社は、幸い2023年度の財務指標は全て良好です。しかし未来永劫この状況が続くと無責任な約束を行うことは残念ながらできません。どんな時代にあっても、自己実現をするには目の前のチャンスを逃さないことが大切です。このチャンスが来る時期や回数は、人によって違います。ひとつ言えるのが、自身の価値を高めることで、人よりチャンスが多く回って来やすくなるということです。
それ以上、その時々の社会で必要な知識や経験を持っている人になれば、待っているだけで活躍のフィールドは向こうからやってきます。

最後にもう一度言います。
何かに挑戦することに、“遅すぎる”ということはありません。