INTERVIEW
SAWADA KENICHIRO

澤田賢一郎

株式会社Futures V-net 代表取締役 フリーナレーターズユニオン 発起人兼代表理事 https://vnet.co.jp/

略歴

1986年愛知生まれ。声優事務所所属として活動する中、9割以上がアルバイトなしでは食えないという業界の現実に直面。その後ナレーター業を中心に独立し、フリーランスとして自らの仕事は成立させるも、人気商売の声の仕事が今の状態では次の世代の未来がないと危惧し、“5割以上が食える業界”を目標に2017年にフリーナレーターズユニオンを立ち上げる。その3年後には当時約40人いたメンバーの5割以上が専業で食べているという、組織内部に限っては「5割以上が食えている」状態を実現。更に今では関連組織である「コエプロ新鮮組」を含めて総勢100名にも及ぶメンバーを擁する、質と量を兼ね備えた状態へと組織を拡大。声の業界でありがちな養成所ビジネスの形には一切頼らない、業界としては異例の共助の精神で成り立つ新たなビジネスモデルを作り上げた。現在は、自らが属する声業界や共に仕事をする映像業界へ一層貢献すると共に、これまで以上に社会へ良質なクリエイティブを届ける架け橋となるべく、株式会社Futures V-net(フューチャーズヴィーネット)を設立し、その代表取締役も務めている。

-現在の仕事についた経緯-

まず私の主な仕事はナレーターとして喋ること、声の仕事中心のキャスティング業務、コミュニティ運営です。
声のプロを目指したきっかけは、学生時代の職場体験でプロの声優さんと直接お話する機会があり、その時にお相手がキラキラと輝いて見えたからです(笑)。
いざ自分も声のプロになってみると、先輩含め皆アルバイト生活で、自分もこのままでは結婚も考えられないと将来がとても不安でした。
しかし、好きなことをするために、人としての当たり前を諦めないといけないとしたら、それは違うと思いました。だから自分自身が声の仕事で生活しながら、周りにもそれができる人が増えていく環境を作る、そんな仕事の仕方を選びました。

-仕事へのこだわり-

私が常に大切にしているのは「三方よし」の概念です。
ただ、今でこそ関わる全ての人の幸せに繋がる選択をすることをモットーに生きていますが、元々は自分のことばかりの人間でした。そして、声の業界然り、「好き」から始まりやすい業種には、どうしてもそういう人間が多くいるように感じています。9割食えない業界と言われるようになってしまった原因は、そこにもあると思っていて、それだと仕事の本質から離れてしまうと思います。
仕事というのは他者の困り事を解決して喜ばせてあげること、つまり他者の課題解決を行うことだと認識しています。だからこそ、まずは相手発信のベクトルで考えることが非常に大切になるわけですが、私は自分が以前は真逆だったことの反動もあってか、その意識がとても強いと思っています。
ただ、皆を喜ばせていると自然に自分も得をするようになるものなので、自分か相手かを選んでいるというよりは皆がハッピーになる道を選んでいるという感覚ではありますが(笑)。「三方よし」は、そんな欲張りな私にピッタリな指針で、「皆ハッピーを選んでもいいんだ!」と思わせてくれる素敵な言葉です。
組織もサービスも、常にこの軸はブラさず作ってきていて、この組織に関わってくれた仲間たちも基本的にどんどん良い成果を出していると思うので、近江商人は凄いなと思わされますね。
これからも変わらずこの軸は持ち続けて、周りに良い影響を与えつつ、結果として良い仲間を増やし、その仲間たちと楽しくジョイントベンチャーしていけたらなと思っています。

-若者へのメッセージ-

今の若い方は頭も良いし、とてもしっかりしているので、私なんかがと烏滸がましい気もするのですが…。
ただ、若いうちはやはり我も出やすいと思います。自分ベクトルが見えると人は警戒するので、結局自分のためにもならなくなるということを理解して、早めに相手ベクトルで考えられるようにしてほしいです。僕らみたいに遠回りせず少しでもショートカットして進んでいっていただけたら嬉しいですね。
あとは、自分の中にあるものだけに縛られず、とにかく相手のニーズから考えるという癖をつければ、いろいろな新しい発想が生まれてくると思います。そうすると必ず人の役に立ちます。そこから得られる充実感や感謝されることでの喜びなどは、自分のことだけ考えているうちは得られないものです。きっとそれらは人生を更に楽しくしてくれますよ。
是非、良い人生を送りながら、いつか弊社とも何か関わっていただけたら有り難い限りです。お互い楽しく邁進していきましょう。