INTERVIEW
SAKAI IKKI

洒井一玖

19ビジネスコーチング事務所 代表 https://19coach.com/

略歴

愛媛大学理学部を卒業。新卒で地元の企業にプログラマーとして就職。20代で人材紹介業で起業するも、意味を見出せずベンチャー企業の人事として就職。親会社も含め5年に渡り人事経験を積んだが、企業が事実上の倒産。その後、19ビジネスコーチング事務所を立ち上げる。これまで100名以上のリーダーのチームマネジメント能力向上を支援。またキャリアコンサルタントとして、企業や県下の学校などで延べ1000人以上へ講演を実施。

-現在の仕事についた経緯-

「仕事に対して前向きな人材を応援したい!」という想いから、起業支援をしているベンチャー企業に人事として就職。後に所属企業が買収され、豊富な資金と知名度を獲得しましたが、親会社の資本力による急激な成長に社内のマネジメント能力が追い付かず、大量離職・コンプラ違反が相次いだ後に倒産してしまいました。

その苦い経験から、人材が定着し、プロ集団として高いパフォーマンスを発揮し続ける“強い組織”を作るには
①文化・体質といった『目に見えない影響力』をコントロールできるマネージャーを育てること
②『改革』には外部からの働きかけが必要であること
に気づき、マネージャー育成コーチとして起業しました。現在は人材不足に悩む中小企業を中心に、チームマネジメント能力・採用力の強化をコーチングを通して行っています。

-仕事へのこだわり-

一つ目は『多角的な論理・道理をもってコーチングを行う』ことです。例えば営業で成果が出せない社員がいたとして、成果に繋がる「行動」ができていない理由は、4つほど考えられます。
恐怖心・惰性・理解不足・スケジュールの管理不足です。
仮に恐怖心が邪魔をしている場合、脳科学に基づいて、感情の元になる扁桃体の活動を抑える訓練をしないと、いくらコーチが背中を押しても逆効果になるわけです。

また、生産性の高い組織を作る上で重要な『文化作り』も同じです。社員の無意識的な思考や行動を変えるためには、社会行動学に基づいた手順、
「①文化の元になる思考や行動を明文化する」
「②文化の元を体現するモデル人材を育成する」
「③モデル人材への憧れや共感を持って文化を広める」が必要です。

こういった様々な原理・原則をベースに持った上でコーチング行うことが、成果の再現性を高めていると考えています。そのため、コーチングやマネジメントの知識だけでなく、脳科学や社会行動学といった様々な分野を広く学ぶ様に努めています。

もう一つのこだわりは、クライアントに「ときには強気でNoを突き付ける」ことです。私が支援しているのは、企業の代表やマネージャーといった目上の方がほとんどです。ビジネスコーチや研修講師として見ても“常に若輩者”の立場である私にとって、本当は「可愛がられる様に動く」方が生存競争としては正しいと思います(笑)。
ただ私達コーチは、クライアントの目的実現のため『彼らが見えていないモノを見える化し、見たくない・聞きたくないことを直視させる』という役目を持っています。クライアントから本当の意味での信頼を勝ち取るために、はっきりとNoと言える実直で真摯な姿勢を貫くことを大事にしています。

-若者へのメッセージ-

「できるだけ働かず休みの多い会社で働きたい」
「投機や投資で成功して、早くリタイアしたい」
仕事柄、これまで『働くこと』に関して様々な思いや考え方に接してきましたが、今の世の中「働くこと」にネガティブな人材の方が多い様に感じます。もちろん上記の様な思いを持っていることを悪いと言うつもりはありません。

ただ、間違いないのは「楽になりたい」「成功したい」「今の仕事から解放されたい」といった狭い視座の中で“自分のことしか見えていない”方ほど、何かを実現したり、キャリアをステップアップさせることに苦労する傾向にあります。
日常で起こる狭い範囲の事象だけでなく、社会の動きや世の中の様々なことに関心を広げてみてください。そうすることで、意味の無い執着や足踏みしていた原因などを客観的に捉えられる様になるはずです。

また、成功のノウハウだけでなく、他人の『生き方』に目を向けてみてください。他人の苦労や様々な想いに触れ、自分が何に共感を持ったか知ることで、今まで気づかなかった『本当にやりたいこと』を知ることができると思います。
皆さんが自分のため、そして世の中のために様々なことを実現できる様に応援しております。