INTERVIEW
ONO SHUJI

小野修司

鍼灸院おるき 院長 https://kokonioruki.com/

略歴

鈴鹿医療科学大学を卒業後、福岡大学大学院に進学。同時に福岡大学病院東洋医学診療部で研修を開始。その後10年間で延べ10万例を超える症例を経験した。研修修了後は自身も福岡大学病院東洋医学診療部で外来を担当。痛みのセカンドオピニオンとして活躍し、2017年に独立。現在は治療家のための学びと成長のプラットフォーム『代替医療ネット』を立ち上げ、後任の育成にも力を注いでいる。

-現在の仕事についた経緯-

私は他の鍼灸師の先生と違って、鍼灸に対して憧れを持って飛び込んだわけではありませんでした。過去に施術を受けた鍼灸では、『二度と度と行きたくない』という経験をし、自分自身が鍼灸の道に進むことになった時には、人生に対して半ば諦めがあったかもしれません。
人生が変わったと感じたのは、恩師である向野義人先生との出会いでした。それまでは本当に、どんなに上手と言われている先生のもとに行っても良い感想が持てず、鍼灸師になるか一般企業に就職するかで迷っていたほどです。
師との出会いを通して学んだ鍼灸という治せる技術が、目の前の患者さんだけではなく社会全体を動かす力があると証明するために、治し・伝えるということをしています。

-仕事へのこだわり-

仕事でこだわっていること。それは、決して驕らないということです。師から厳命され、座右の銘としている『一流でなお挑戦者』と通ずるものがあるかもしれません。
我々の世界では、ある程度結果を出せるようになるとゴッドハンドを名乗る先生が増えていますが、自分で決めるものではありませんよね。それに、どれだけ技術を磨いてもまだまだ治せない患者さんはたくさんいます。全ての患者さんを治せるようになるまで、歩みを止めるわけにはいきません。
当初、私自身が鍼灸の効果というものを信じることができませんでした。ですので、鍼灸で嫌な思いをした当時の自分が納得できるだけの知識と技術を身につけるために、必死で学びと研究を繰り返しました。その結果、今はたった1回の施術でも患者さんの身体に変化が出せるかどうかにチャレンジすることができています。
そして、技術は伝え、残さなければいけませんし、その時に再現性がないと意味がないと思っています。鍼灸の世界は職人気質が強く、10年やってようやく一人前という風潮がありました。しかし、各先生が10年間、思い思いの方法で結果を出せるようになっても、それを医療の技術として伝えていくことは難しく、意味がないものではないかと思っています。
再現性がある技術を後世に伝えていくためには、できるだけシンプルに、“免許を取り立ての先生でも学べば9割の患者さんを治せる”そういう技術にしなければいけないと考えています。
ですので、学びも怠るわけにはいきません。できるだけ多くの技術を学び、良いところを取り入れ、アウトプットはできるだけシンプルに行う。こだわりは、常に学び続け高みを目指すというところなのかもしれません。

-若者へのメッセージ-

自分自身を客観的に見つめることはとても難しいです。高く評価してしまうと成長がなくなりますし、自己評価が低すぎると自信がなくなり、仕事でのパフォーマンスが下がってしまいます。どうか、学び、成長し、それでもなお、客観的に自分自身を見つめられる人になってください。
どのような道に進んでも、一流の人は常に自分自身をアップデートし、学び続けています。私の周りの素晴らしい先生方や、患者さんとして来てくれる経営者さんたちもみんな学んでいます。
変化することを恐れないでください。変化は正直、しんどいです。壁を乗り越えるにも、エネルギーが必要になります。それでも、乗り越えることでわかることがあります。楽しさや達成感、仕事を通して得られる喜びがやってきます。
これから先、いくつになっても学び、自分自身を良い方向に変化、成長させ、正しく自己評価を行って、輝かしい将来に向けて進んでいただければと思います。