INTERVIEW
OKAWA KAZUYA

大川和哉

株式会社ファクトエール 代表取締役CEO http://factyell.com/

略歴

専修大学商学部卒業。新卒にて工作機械メーカー大手の株式会社アマダに入社。営業を16年経験し、ある機種での国内販売台数全国1位にて表彰も経験。同時にリーダーとして組織形成も学ぶ。コロナ蔓延と同時に単身赴任も始まり、家族との時間の大切さを考えるようになり、2021年アマダを突然退社。ものづくりの世界が好きで、より身近にものづくり企業を支援したいとの想いで、同年に起業。現在は、前職の経験を活かし、製造業の生産性向上の支援、経営者のスキマ作りを行うNo3代行を東海・関東・北関東にて実施。7枚の名刺を使い分け、パラレルワークに奮闘しながらも製造業を盛り上げる活動に意欲を燃やす。

-現在の仕事についた経緯-

人生は一度きり。
前職のアマダは、幼い頃から知っている大好きな会社でした。営業時代も楽しく仕事をさせて頂き、経験も人脈も全てアマダのお陰です。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ですが、家族と一緒にいたいという気持ちが大きく、退職を決心しました。自分でやってみたい気持ちが強く、一切転職は考えず起業という選択を選びました。
“今までの培った経験×自分の得意技=他所に負けない価値”ではないかと考え、板金製造の知識と営業力、更には調子の良さを活かし、ものづくり企業の経営者支援を行うNo3代行を実践中です。
苦しい事も悩む事も多くなりましたが、支えとなってくれる家族が近くにいてくれる事が幸せです。人生は一度きりですので。

-仕事へのこだわり-

アマダでの営業時代は、時に億を超える機械の販売も任されました。浅はかな提案では決断してもらえません。私が営業する上で気をつけていた事が3つありました。

1.そこにストーリーはあるのか
2.カードの切り札と落とし所
3.三方良しになっているか

一つ目ですが、これは、機械の選定をする際、お客様は綿密に生産性が何%向上するのか、工数はどのくらい削減するのか気になります。その際、私は数字もさる事ながら会社全体の問題点であろう事に注目してストーリーを立てて決定権者に話をしていました。
例えば、経営幹部がいない→現場の〇〇さんをその役職にするのは?→現場が手薄に→最新機械なら新人でもできる→機械が必要では?といったストーリーです。
このストーリーを立てるためには現場の方々とも情報交換を図り、問題の本質を見極める能力が必要となります。

二つ目は、お客様との折衝時の話ですが、お客様は人生経験豊富な大先輩です。若造の私はすぐ言いくるめられてしまいます。経験を積んだ私は、カードの切り札と落とし所を学んでいきました。値引き交渉では、如何に自社に有利で、尚且つお客様にはお得と思ってもらえるか、カードの種類と落とし所を想像して交渉していました。

最後は三方良しです。お客様・営業所・本社の視点で「この商売は三方良しになっているか」を考えて営業していました。皆がハッピーでない商売は長く続きません。

営業時代に身につけたこの3つのスタイルは、独立した今の事業でも十分活かしています。コンサル的な仕事柄、顧客の問題点の本質を捉え、ストーリーを立て、顧客・従業員・我が社がハッピーかどうか、仕事を前に進める為には非常に重要です。カードの切り札も“交渉”ではなく、提案の引き出しとして形を変えてお客様の支援材料になっています。

-若者へのメッセージ-

最近では「やりたい事をやりなさい」「好きな事すればいい」ととてもポジティブな考え方、ものの捉え方を耳にします。私もその考えはあります。一度きりの人生であればやりたいことをやる。わかります。
ですが、自分の過去を振り返った時、今現在の楽しく仕事が出来ている姿の背景には、前職で培った経験があります。そしてそれは、必ずしも毎日がハッピーな日々ではありませんでした。
売れなくて悩み、会議に出るのが嫌だと感じる。先輩からのお説教。お客様からのクレーム。マネジメントが上手くいかない。挙げればキリがありません。ですが、それらの経験を積んで、克服して、時には我慢して、耐えてきたから今の自分があると思っています。どんな事でも耐えろと言っている訳ではありませんが、人生を豊かにする為には、時には苦しく辛い事も経験すべきかと思っています。
人生において、人は皆、苦労の度合いは同じではないかと思っています。もしそうだとしたら、若いうちがいいです。20代と60代では怒られ方が違います。若いうちに様々な経験を積む事で視野も広がり、人脈も広がります。全ての経験は自分にとって全てプラス。経験豊富な人生を目指してください。
大丈夫!あなたに失敗なんて言葉はありませんから。