1989年3月北海道大学経済学部卒。新卒でトヨタ自動車株式会社に入社、人事部門で18年、調達部門で14年の経験あり。その過程でタイ・ベルギーで2度の海外駐在を経験。
略歴
-現在の仕事についた経緯-
現在社長を務めている尾張精機株式会社は、2020年まで名証2部上場企業でありましたが、2021年投資ファンドであるライジング・ジャパン・エクイティ株式会社の100%子会社となりました。
私はそれまでトヨタ自動車の調達部門の部長職を務めておりましたが、例え小さな企業であっても「社長」として自分自身の腕試しをしたい、という気持ちを強く持っておりました。
その当時、投資ファンドと私とのお互いのニーズが合致したため、トヨタ自動車を退職し、投資ファンドの委嘱を受けて現在の職務についております。
-仕事へのこだわり-
社会人として、今まで一貫して追求していることが「おかしなこと(問題)をおかしい(問題だ)と言える人であること、そういう組織を作りあげること」です。
私が最初に配属された職場は、まだ役職についていない若手の先輩たちが、相手が他部署の部長であろうと役員であろうと、理論的に議論を戦わせ、理屈に合わない圧力に屈せずに「おかしなことをおかしい」と主張しよう、というムードに満ちていました。そういう先輩たちに憧れ、自分もそういう姿勢を取り続けるよう若い頃から心がけていました。
他部署の部長や役員がいる大きな会議でも「この問題を議論せずに先に進めようとするのはおかしい」などと発言し、他部署からは煙たがられたこともありましたが、自部署の上司からは「よく言った!」と褒められたものです。
マネジメントの立場になってからは、部下が「おかしなことをおかしい」ということに躊躇したり、忖度したり、保身を考えたりなどということの無いように、「BAD NEWS FIRST(悪い知らせは真っ先に)」を最重要の約束事として理解・共有するとともに、悪いニュースを積極的に上げてくる部下に感謝し、賞賛しました。
現在は社長として、悪い知らせが上に上がってこないことが経営の最大のリスクであると考え、BAD NEWS FIRSTを積極的に奨励し、そうした文化・風土づくりを進めています。
-若者へのメッセージ-
今の若い方の中には「大企業に勤める=会社の歯車になってしまう」というネガティブな印象があり、「もっと若いうちから責任を任され、経営に近い仕事を」という思いをお持ちの方も多いと思います。
しかしながら、大きな企業を回す歯車というものは本当に大変で、物事をとても深く考える習慣や深い専門性などは、大企業の大事な歯車として働いた経験から培われるものだと思っています。
私は、入社してから大企業の人事部門で18年勤務しましたが、人事・組織の理論を人一倍深く研究し、体系的に理解しています。従って、人事・組織上の問題は、ある程度の情報で、普通の人の数倍のスピードと確度で把握することができます。
こういう深い専門性を身に着けることは、不確実な時代を生き抜いていくための糧であり、かつ、社長という立場で仕事をしている私にとってはかけがえのない財産だと思っています。
確かに大企業でしかるべき立場につくまでには時間がかかるのも事実ですが、50代~60代という世代は必要とされる人の割合が20代~40代に比べて少ないのが現実で、この世代で会社や世の中から必要とされるかされないかは、幸せな人生を送るうえでとても重要です。若いうちに大企業でじっくりと専門性を深めることも、決して悪くない選択だと思いますよ。