INTERVIEW
OHKUMA TAKUMI

大熊拓海

Airion株式会社 代表取締役 https://www.airion.co.jp/

略歴

東京大学工学部卒業。同情報理工学系研究科修士課程修了(研究科長賞受賞)。専門は少数データを用いた画像認識AIの研究、及び姿勢推定AIの開発。2021年度未踏アドバンスト事業採択。在学中にAirion株式会社を創業し、最先端のAI技術を活用した社会実装や、AIを学ぶ学生の支援を行う団体「AcademiX」の運営に力を入れる。

-現在の仕事についた経緯-

現在AI起業家として活動している私ですが、元々は大学の講義がきっかけで「知能」の理論に興味を持ち、AI研究の道を志しておりました。
しかしながら私が研究を始めた2010年代後半以降は、GoogleやFacebook等の巨大な資金力を背景にした研究にアカデミアが対抗するのが厳しくなった時期でした。それに自分の実力不足も重なり、私個人がプレイヤーとしてAI研究の最先端を走る事の難しさを痛感しました。
その様な中で、自分とあまり年齢の変わらない学生や若者が、「起業」という形でAIスタートアップを立ち上げ、組織のとして事業を進めることで個人の力を超えた社会的インパクトを与えていることを目の当たりにし、強い憧れを持ちました。
そして、憧れを憧れのままで終わらせない為にも、そのような起業家が所属するコミュニティに顔を出すようになり、起業家としての解像度を高めていき「Airion株式会社」を創業するに至りました。

-仕事へのこだわり-

私は人の能力や好奇心を引き出すことを意識しています。
自分個人の力を超えた力を組織で発揮する為に起業という選択をしましたが、組織に所属する「人」が最大限の能力を発揮してこそ、組織はより強くなります。
また、私自身がそうであるように、テクノロジーを武器にした組織のメンバーが最大限に力を発揮するのは、好奇心に突き動かされている時であると考えます。今まで知らなかったことを知りたい、今まで出来なかったことを出来るようになりたい。そのような強い想いを持った人は、時に信じられないような力を発揮します。
ですので、如何にメンバーの好奇心を引き出すか、そしてその好奇心を組織の力に変換していくか、この二点は一切妥協すること無く今後も追及していくつもりです。

更に、弊社が運営する組織に「AcademiX」という、AIを学びたい学生を応援する組織があり、現在では300名を超えるメンバーが在籍しています。本組織は、別の会社を経営している高校の同級生と共に1年前に立ち上げ、定期的に勉強会やイベントを開催しているのですが、最先端のAIを学びたい学生の好奇心を刺激し、能力を高めることに貢献できていると思います。
AIに関心のある学生が集まり、AcademiXで能力や好奇心を高め、最後はAirionで力を発揮する。このようなエコシステムによってメンバーと会社が共に成長できる。それが私の理想です。

最後に、現在の私の夢は科学技術の極限を目にする事であり、私の目標は自分自身が最前線で貢献することです。生物である以上人間は永久に生きることは出来ず、私が生きられるのもあと50~60年でしょう。それならば、AIの力を使って科学の進歩の方を加速させ、行ける所まで行こう。その想いを持ち続けて日々仕事に取り組んでいます。

-若者へのメッセージ-

新たな人や組織に出会うことを通じて、自分の視野を広げること、視座を高めることをお勧めします。
今までに無いタイプの人に出会えば自身の視野が広がり、今まで自分には無かった軸で物事を考えることが出来るようになります。またハイレベルな人と関われば、その人のレベルが当たり前になることで視座が高まり、よりハイレベルな行動が出来るようになるはずです。

私の例を出しますと、私は中学・高校・大学と「勉強や研究で結果を出す」という方向性しか自分の視野にありませんでした。しかしながら、大学時代に気まぐれで参加したイベントで「スタートアップでチャレンジ」という道を知りました。
また、起業家の道を志した後、まだAirionを創業する前に私は起業家のコミュニティに所属しました。一般的に会社を立ち上げるのはとても大きな挑戦に思われますが、そのコミュニティでは各メンバーが自分の趣味の話をする様なノリで自分の会社の話をしており、その中に居ると自然と起業へのハードルが下がっていくのを感じました。

このように、AIに興味を抱いたのも、起業を志したのも、尊敬できる今の創業メンバーに出会えたのも、すべて人との出会いを通じた視野の広がり、視座の高まりによるものです。皆さんも積極的に新たな環境やレベルの高い環境に飛び込み、より多くの機会を掴んで欲しいと思います。