INTERVIEW
NOGUCHI HIDEYASU

野口英康

モータリスト合同会社 代表社員 https://motorists.jp/

略歴

自動車メーカー、二輪車メーカーの海外拠点の責任者を歴任。認証、特許、商品企画、VA/VEなどの技術職から、営業、広報、マーケティング、渉外など幅広い業務を経験しながら経営者として事業を監督してきた。2020年、それまでの経験を活かし、自らセレクトした商品を海外から輸入販売する「モータリスト」を起業。

現在の仕事についた経緯

10代後半、ロードレースのトップカテゴリーで走るほど二輪での競技に傾注していましたが、その流れから就業した二輪業界では自分を生かしきれないと、4輪のメーカーに身を転じました。10年にわたってクルマを作り、売り、アフターをサポートする、という仕事を全方位やり切ったのち、趣味を仕事にする自信を抱いて、改めて二輪メーカーに転職。トップブランドから始まり、なかなか上が見えない小さなブランドの育成、仕組みづくりや遊び場づくりをやりながら、自分だからこそできるオートバイの楽しみ方を広げ続ける毎日でした。
一方で、特定のブランドを束ねる苦しみも味わい、ならば与えられたブランドではない、自分が選んだブランドで勝負できる環境を自ら作り出そう、と改めて起業。オートバイ販売店やメディアからの熱い支持を背景に、お客さまにこの楽しさを伝えるべく日々奮闘しています。

仕事へのこだわり

この業界、顧客視点に欠けた人が多く、またそれが成立してしまうほど商流上位、すなわちメーカー側の締め付けが厳しく、日々驚かされます。私たちは、自分たち自身が最初の顧客であり、私たちの商品を購入したお客さまであるという意識を絶えず持ち、お客さまの喜びのために真摯に働くことで支持を得られ、信頼を獲得し、結果としてファンがついてくると確信し、ビジネスに勤しんでいます。
そのためには、当たり前のことを当たり前にやり抜くこと。やるべきことを、やるべき時に、やるべきように、やる。真面目に、丁寧に、一歩づつ、身の丈に合ったことを、ちょっとだけ背伸びしながら、顧客視点を忘れずに、相手のある仕事を心がけて、正直に商売する。
当たり前すぎてつまらないかもしれませんが、これを徹底することが、本当に大切なことのはずです。

若者へのメッセージ

私自身は、人から言われたことをそのままやらないで済むにはどうしたらいいかばかり考え、行動してきました。一方で正面から喧嘩するほどの度胸もありませんし、仕事を失うのも怖かったので(バブル当時は労働者なんていくらでもいると思われていましたから、逆らうこと=クビ、なんてことがまかり通っていました)、とにかく命じられたことは驚くほど徹底的に完璧にかつ圧倒的な速度で仕上げ、生み出された時間を使って自分にしかできない提案を形にし、相手にうんと言わせるように突きつけました。
命じられたことは黙ってやり、その中にもしかしたら存在する(いや事実、やはり経験のある方からの指示には自分にはない気付きが含まれているものです)発見を大切にしながら、同時に自己実現のための努力は人一倍やって認めさせ、出過ぎた杭となって打たれないくらいにまで突き抜ける。そういう努力をしてはどうかなあ、と思います。
ただ言われたことに逆らうのでは、相手に認められません。言われたことだけやっていたのでは、自分がやりたいことが実現できません。それを形にするためにどうするか、目的のために手段を考える癖をつけましょう。
すべては「そのためには、どうするのか」です。周囲の方を味方にする良いコミュニケーションも大切ですよ。自分がやっていること、やりたいことを丁寧に発信しながら、自己満足に陥らずに、人の意見をよく聞いて、ひと工夫して戻す。相手に喜んでもらいながら(あるいは認めてもらいながら)、自分の考えも貫いていく。
気持ちいいものですよ、成功すると。チャレンジを恐れずに。