INTERVIEW
NAKAZATO HAJIME

中里肇

株式会社グラックス・アンド・アソシエイツ 代表取締役 https://www.gracchus.co.jp/

略歴

中央大学法学部卒業後、新卒で日本長期信用銀行(現SBI新生銀行)に入行。その後、PwC FASを経て独立し、株式会社グラックス・アンド・アソシエイツ設立。M&Aや事業再生、不動産関連のコンサルティングに幅広く従事。国内外の大手金融機関のクライアント多数。

-現在の仕事についた経緯-

新卒で入社した日本長期信用銀行では他の銀行同様に海外展開をしており、その拠点ごとに現地の外国人をナショナルスタッフとして採用していたのですが、そこには常に“日本人が彼らを使っている”という意識があり、働いているのは日本人でもディシジョンメイキングは日本人がするものという感覚が強かったのです。一方、NYに本社があるPwCでは状況が逆転。同じように全世界においてNY方式で通そうとしていました。
そこに疑念を感じていた私は、和魂洋才のような、メカニズムはアメリカで日本流にカスタマイズしたいいとこ取りのコンサルティング会社をつくりたいと思い、会社を設立しました。

-仕事へのこだわり-

時流を読み切ることと組織の力を信じることを大切にしています。将来を予測しマーケットの流れを読むということは常に意識しています。やるべきことをやれば誰にでもみえてくるものです。
また、人材の選択と長期的視野に立った育成も大切にしています。サービスのクオリティを安定させたまま短期間で急成長させるには、この考え方が重要だと考えています。

-若者へのメッセージ-

 モーツァルトの弦楽四重奏曲第19番ハ長調 K.465は俗に『不協和音』と呼ばれています。四重奏曲の序奏をなすアダージオは、当時の人びとの目には、混沌とした闇を描いた一枚の絵としか思えなかったでしょう。
ところが、曲は後のアレグロによって雄大な秩序と光の画像となって収束していきます。モーツァルトを「確信に満ちた楽天主義者」としかみなしていなかった19世紀の識者の理解を超越した作品だったに違いありません。
 翻って21世紀を生きる私たちはどうでしょう。計画的に作られた既存エリートには理解できない事象の連続で、この数世紀世界をリードしてきた米欧のエスタブリッシュメントの考え方ではとても解決できない状況に私たちは直面しています。
 予め想定できる予定調和を目指して解を求めるプロセスではなく、異色な個性の衝突、スパークする議論の応酬、決裂を恐れぬ勇気、、、まさに『不協和音』こそ今の時代に必要なスキルであると私は考えています。
 若者とシニア、男性と女性、エリートと非エリート、有資格者と無資格者、大企業と中小企業、、、
 今まで別の世界で生きてきた者の対峙から生じる混沌の中にこそ次のステージに踏み出す為のヒントが内包されていると思います。
 一見回り道に見えるかもしれませんが、最終的には本当の秩序とまばゆい光の世界が訪れるよう特に若い世代のパワーに期待しています。