INTERVIEW
NAKASHITA DAIKI

中下大樹

労働者協同組合「結の会」 代表理事 https://yuinokai-roukyou.com/

略歴

大学院卒業後、思うところあって浄土真宗の僧侶となる。その後、病院の緩和ケア病棟(ホスピス病棟)にて、数百名の末期がん患者の看取りに従事。病院を退職後は、早稲田大学等で教鞭を執りつつ、東北の被災地支援・孤独死・孤立死対策、自殺と貧困問題・成年後見制度、更生保護問題等、人間の生と死にかかわる様々な活動に従事。今まで2000人以上の葬送支援に従事。現在、労働者協同組合「結の会」代表理事も務める。著書「悲しむ力(朝日新聞出版)」等、多数。

若者へのメッセージ

亡くなったスティーブ・ジョブズは、生前、こう言っています。
「人は、生まれ、ほんの一瞬生き、そして死ぬんだ。ずっとそうだ」

私は今まで病院職員として、数えきれないほどの末期がん、エイズ患者の最期の看取りに立ち会ってきました。また、僧侶として葬送支援の仕事を通じ、2000人以上の方の最期にも立ち会ってきました。

人生の最期の最期で「いい人生だった。我が人生に悔いなし。幸せだった。」と言いながら亡くなる方は、老若男女問わず、死の臨床現場では、限りなくゼロに近いです。逆に言うと、ほとんどの方は、「自分の人生を全うした」「生き切った!」という充実感を味わうことなく、この世を旅立つことになります。(もちろん、病気が進行するにつれて、人は眠っている時間が増え、会話が出来なくなるという問題もありますが…)

人の命には限りがあります。そして、古今東西、歴史を見ても、人間は皆、等しく平等に死を迎えます。皆様は、ご自分が人生の最期を迎える時に、どんな最期を迎えたいですか?「幸せな人生だった。みんな、ありがとう」そう言いつつ、笑って旅立ちたいと思うならば、「今」この瞬間の「生き方」が大事になります。

何故なら、人は「生きてきたようにしか、死ねないから」です。例えば、あなたが最期の瞬間、家族に見守られながら、この世を旅立ちたいとお考えなら「今この瞬間、家族との関係を見直す」必要があります。普段から仲の良い家族ならば、「その時」も、あたたかい関係が持続出来るでしょう。しかし、普段、仲が悪い家族ならば、「その時」だけ、素敵な関係が構築できるはずはありません。

つまり、何が言いたいか?「今でしょう!」で有名な林修先生ではありませんが、「今」が大事ということです。「今」この瞬間の「生き方」が、「その時」の直結する。「死」から「生」を見る視点を持つだけでも、「今、この瞬間」の生き方が変わってくるのです。

別の例を挙げます。世界的に見ても、日本は地震等、災害の多い国です。皆様は、普段から「備えあれば憂いなし」の精神で、家族間で「地震が起こったら、こうやって連絡を取り合おう」と、「もしもの時」を想定して、準備をされていますか?

言うまでもなく、準備が出来ていない人は、「その時」、何をするべきかわからず、パニックに陥る可能性が高いです。しかし、ある程度、準備が出来ていれば、自ずと「その時」に自分が取るべき行動が分かるはずです。

既に今の日本社会は、「多死社会」です。2022年、新しく生まれてきた<赤ちゃん>は約80万人でした。そして亡くなった方は、約160万人でした。
「死」を意識することで、より「生」が輝く。

映画(漫画)「鬼滅の刃」で有名になった煉獄さんの、最期のメッセージを以下、書き記しておきます。

「胸を張って生きろ。己の弱さや不甲斐なさに、どれだけ打ちのめされようと、心を燃やせ。歯を食いしばって前を向け。君が足を止めて蹲っても、時間の流れは止まってくれない。共に寄り添って悲しんではくれない。俺がここで死ぬことは、気にするな。柱ならば、後輩の盾となるのは当然だ。柱ならば、誰であっても、同じことをする。若い芽は摘ませない」

この記事を読んで下さった、おひとりおひとりが、「自分の人生を全うすること」を、切に願っております。