INTERVIEW
MULLINS YUMIKO

ムリンズ由美子

クリップス・グループ 代表 https://clipsgroup.jp

略歴

ドイツ・デュッセルドルフで生まれ、小学校4年より高校2年までアメリカワシントンDCで育つ。青山学院大学卒業後、金融業界に就職。28歳で渡米・渡英。MBAを取得後、米国にてブランドマーケティングにキャリアチェンジ。マーケティング戦略・海外市場戦略・経営戦略を経て、日本に帰国。2022年に障がい者を含むソーシャルグループ支援を目的とした「クリップス」を立ち上げ、現在に至る。

-現在の仕事についた経緯-

物心ついたときから、重度障害者である兄の存在・影響があり、常に障がい者の理解を高める社会、障がい者がメインストリームとして活躍できる時代を考えながら生きてきました。いずれは、考えるだけに留まらず、なにかを実行するべきと自負していたと思います。
海外生活を経て、障がいや社会的マイノリティや高齢者に対する日本とは違った考え方やアプローチを垣間見て、異文化の中に自分を置いたことはとても大きな原動力となりました。
その後、自身の子供が障がいを持って生まれ、そこから得た経験や知識、ネットワークを経て、次第に自分のビジョンが具体化されたことが、現在の仕事に踏み切るきっかけになりました。

-仕事へのこだわり-

社会は人で出来ています。仕事のパートナーも、取引先も、指導者も、相談する・される人物も、みんな人です。人が世の中を動かしているし、人が存在しなければ秩序も文明も意味がありません。
78億以上の人間がひしめく地球で、友人はもちろん、仕事のパートナーや関係者などと巡り合うことがいかに奇跡的かを考えるとザワリとします。だから私は、仕事や人生の流儀として「一期一会」を大事にしています。人と巡り合うことは千載一遇の出来事であり、運命的とさえ感じます。
1人の人間は、1日24時間、1年365日の限られた時空しか生きられないので、巡り合った人から、その人が生きた人生の「何か」を学ぶことを大事にしています。学びの形はいろいろあり、全てポジティブな内容ではありません。反面教師も大切な学びであり、マイナスを学ぶことの重要性もまた痛感します。
全ての出会いが学びの師匠であり、それは年齢、性別、国籍、ソーシャルステータスなど無関係に、考えさせてくれる機会を与えてくれる、私にとっての人生、とりわけ仕事のこだわりと言えます。

-若者へのメッセージ-

自分もこの歳で未だ発展途上にあるので、若者へのメッセージなど立派なことは言えませんが、人生の少し前を歩いている者として、思うことを綴ってみます。
よく『XX歳までにやっておくべきこと』などと言う書籍を見かけますね。著者はきっとそれを達成できたのだろう、すごいなぁと、素直に感心します。
私はといえば、そこに書いてあることはほぼ実現できておらず、その「XX歳」を随分と過ぎてしまっているのが実情です。もちろん、その書籍を目にすれば、『しまった!手遅れか!』と多少の焦燥感を覚えることもありますが、人にはそれぞれのタイミングがあるので、私はそれを来年やろうかしらと思ったりもします(20年遅れだったりしますが)。
失敗や後悔もそうです。『失敗を恐れるな!』『後悔してもしょうがないから振り返るな!』というのもよく目にしますが、いくつになっても私は失敗することが怖いし、後悔に限って言うと、大小含めて、数えきれない程の後悔をしていて、日々後悔と共存しているとも言えます。でも、それが人間の、人間らしい姿なのではないかとも思うのです。
そんな「ポジティブシンキングの劣等生」のような私ですが、別に自分を嫌悪することなく、自分が信じることを少しずつ実行しています。人生に明確な方程式はないのです。失敗を恐れながら、毎日後悔と向き合って、ほんの小さな、自分の信じられる道が見つかれば、素晴らしいことであり、私は心から応援します。
人生は捨てたもんじゃありません。『Be Yourself』ー自分らしさを忘れずにいて欲しいと思います。