INTERVIEW
MORISHIGE MASUMI

森重真純

株式会社Galirage 代表取締役 https://galirage.com/

略歴

慶應義塾大学卒業(同大学院修了)。 日本IBMにデータサイエンティストとして入社。その後、独立して株式会社Galirageを創業。学生時代に始めた6年間のフリーランス経験を含めると、合計50を超えるDXプロジェクトに参画。現在は、株式会社LITALICOの客員研究員やスタートアップ企業(計2社)の社外CTOにも従事。

-現在の仕事についた経緯-

幼少期の頃にインターナショナルスクールへ通い、英語が話せないことによる言語の壁を経験しました。運よくアジア人である自分に合わせた個別最適教育を受けることができ、言語の壁を乗り越えました。

その後、自分と同じように生きづらさのあるお子さんを支援したいと思い、株式会社LITALICOにて非定型発達児を含む多様なお子さんへの教育支援に従事しました。
現場での提供価値をよりスケールさせたいと考えたのと同時にシステム開発の重要性に気付き、飛躍的なスキル習得をするため、フリーランスエンジニアとしての受託開発を始めました。

そこから、より大規模な課題解決をしたい(スキルを身につけたい)と思い、日本IBMへデータサイエンティストとして入社しました。その後、独立して株式会社Galirageを創業しました。

現在は、様々な現場で活躍するビジネスパーソンが抱える「時間的貧困」という社会課題(人手不足や過重労働など)を解決するために、法人向けに「生成AIを用いた業務効率化システムの開発」を受託したり、教育したりする事業を展開しています。

-仕事へのこだわり-

私が大切にしているこだわりは「本質的な問題(イシュー)を見極める」ことです。多くの人が表面的な解決策に飛びつく中、真の価値は良質な「問い」から生まれると信じています。

では本質的な問題はどのようにして見極められるでしょうか?私の中での答えは「常人離れしたほど深い思考」を積み重ねることです。さらに余裕があれば多様性のあるチームを作り、力を合わせて、デザイン思考のフレームワークで議論をすることも推奨します。

コミュニケーション能力は、このようにチームで新しいイノベーションを生み出す際に、真価を発揮すると私は思っています。特に各メンバーが自分らしさを解放して、価値を生み出すために「心理的安全性のあるコミュニケーション」を取ることは最重要だと考えています。

心理的安全性のあるコミュニケーションをとるためには、様々な人の「価値観」や「感じ方」の引き出しを知っておくことが大切です。そのためチームメンバーはもちろんのこと、普段自分がたくさん関わらない人からも、その人らしい価値観を聞きます。

人の価値観は十人十色な上、目の前の人の価値観を100%の解像度で理解することもできません。しかし、多様な価値観を知っておくことで想像できるようになります。たとえば私が、以前一緒に働いていた同僚に話を聞いたところ、新しい職場において「業務内容への不安」よりも「出社時の昼食への不安」の方が大きいという話を聞きました。話を聞くと、体質上、食べられるものが限定的なため、もしもみんなでお昼を食べに行く流れになった時に、「みんなと行きたいけど、自分が食べれるものがあるか?」という不安があったそうです。

「無知の知」という言葉があるように、特定の人のエピソードを知っているだけで、チームを心地良くするための配慮あるコミュニケーションが取れるようになります。

-若者へのメッセージ-

私自身もまだまだ若いですが、若いうちに挑戦を重ねた結果、予想以上に年上の方々は真剣に挑戦する若者を積極的に支援してくださることを知りました。

私が恵まれていることも十分考えられますが、現代の日本という安全な状況において、若いうちにリスクを取り、自分のやりたいことに挑戦することを私は強く推奨します。

慎重派の方々は、まずは整備された環境でスキルを身につけたいと思うかもしれません。どちらかと言うと私も慎重派になります。そのような方々であれば、圧倒的なスピードで専門的なスキルを磨き、新しい挑戦におけるリスクをリスクと感じないほどの戦闘力を速くつけましょう。

しかし、努力を重ねる過程でモチベーションが低迷する時もあるかと思います。そんな時は「志が高い仲間」や「目指したいロールモデルの人」を探して、時間を共有することが有用です。

このように、環境にこだわることで自然とスキルや成果もついてきます。若い時の努力は、複利の形で未来に響いてきます。今日があなたの人生で最も若い日です。今日一日、歯をくいしばって動いた努力は積み重なり、必ずいつか思い通りの人生を手に入れることができるでしょう。