INTERVIEW
MOCHIZUKI HIROCHIKA

望月広愛

株式会社MATコンサルティング 代表取締役社長 http://www.mat-consul.jp/

略歴


1959年、静岡県生まれ。
1981年、北海道大学卒業後ヤマハ株式会社に入社。ヤマハにおいては、東京支店、海外統轄本部アジアオセアニア担当としてマーケット開拓。
1989年、株式会社三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。東京経営戦略本部主任研究員・チーフコンサルタント、企業革新推進室長などを歴任、一流企業や中堅中小企業、官公庁等に対し「経営品質」「マーケティング」に関する戦略コンサルティングを実施。「企業イメージ集中化および最適化戦略のためのマーケティング手法の開発」等により1994年と1997年の2回、三和総研社長賞を受賞。
1999年、株式会社Jアートレストランシステムズ代表取締役社長就任。
2000年4月、社長を解任されるが、経営再建のため12月より再度社長に就任。
14億円の借金の保証人となり、10億円の売上で4億円の当期赤字からの再スタート、経営品質活動を展開し、業績は急回復。債務超過を脱却し、退任するまで7年連続経常利益増益を果たす。
2005年、外食産業では初めて日本経営品質賞本賞受賞。
2008年、株式会社MATコンサルティング起業。代表取締役社長。
2010年、株式会社静鉄ストア代表取締役社長就任。2013年会長就任。
2014年、静鉄ストア代表取締役会長を退任し、MATコンサルティング社長に復帰し、経営品質のコンセプトに基づくコンサルティングを実施中。これまで8社の日本経営品質賞本賞受賞、17社の経営デザイン認証取得をサポートした。

【役職等】
2017年~ 一般社団法人日本損害保険代理業協会アドバイザー
2021年~ 静岡県庁ChaOIプロジェクト戦略推進委員
2016年〜2017年度 中央大学大学院戦略経営研究科客員教授
2004年〜2018年度 名古屋商科大学大学院マネジメント研究科講師・客員教授
※2009年度ティーチングアワード受賞

【著書】
生産性出版「働きたくなるこれからの保険業-SDGs時代に求められる経営」
生産性出版「最良だから最強」な組織づくりの定石 ※2015年6月アマゾン経営学第一位
生産性出版「ありがとうの力」
生産性出版「文句ばかりの会社は儲からない!」
日本コンサルタントグループ「勝つための価格戦略とそのメカニズム」
同友館『これが実践!超お客様満足主義』
同友館「ブライダルビジネス戦略」
INSPRESS積文堂 共著『「超保険」進化論』

-現在の仕事についた経緯-

当社が目指すのは経営革新で、当社のコンサルティング事業の根幹をなすものは経営品質(Management Quality)という考え方です。この考えを理解するためには、改善と革新の違いをご理解いただくことが大切だと考えています。
誤解を恐れず言えば、現場の悪いところを指摘し合い、絶えず変革を繰り返していくことを一般的には改善活動と言います。一方、現場の社員やお客様の声から、経営側(社長、組織)のマネジメントや考え方のおかしなところを絶えず変革していける仕組みを持ち続けることこそが経営革新だと私は考えています。
最近起こっている企業での不祥事を見れば、このことの妥当性はよくご理解いただけることと思います。普遍的論理性=経営品質のガイドラインに基づき、永続的に卓越した業績をあげられるようにトップと社員が考え方を変えることができるかどうかにかかっていると思います。
このような経営革新に挑戦しようと思ったことがきっかけです。

-仕事へのこだわり-

私のこだわりは、社名に込められています。MAT ConsultingのMATはMuch Appreciation and many Thanks(たくさんの感謝とたくさんのありがとう)を意味しています。
お客様組織のみなさんひとりひとりに、たくさんの感謝と、たくさんのありがとうの心が溢れるようなコンサルティングを実現していきたいと考えてきました。
MATコンサルティングのロゴは、角のある組織が、だんだん角が取れ、丸みのある組織風土に変化していくことをシンボリックに示していますが、コンサルティングを通じてそのような組織作りを行っていきたいということを大切にしてきました。
特に強く意識していることは、永続的に卓越した経営をしていくことです。そのためには自然の摂理(普遍的な論理性)で経営するということが大事です。自然の摂理に反して、従業員を使い捨てにしたり、お客様を騙したり、情報を隠したりしていては、その組織に永続的な繁栄などあるはずがないと考えています。

-若者へのメッセージ-

永続的に卓越した経営をしていくためには、自社独自のものを、時間をかけて編み出していくことが重要だと思います。そのために大切なことは単なるビジネスモデルでは無く、ぶれない考え方です。
私が新会社を設立するにあたって最も大切にしたかったことは、「大赤字のレストランチェーンが、何故、悪い企業風土から良い企業風土に変わることができたのか?」というところにあります。
社員もアルバイトも皆が互いに仕事をしやすい環境を作り出そうと、5年も6年もあきらめずに努力を続け、あとから利益がついてきたのだという事実があります。
一方、多くの会社では「陰口」というものがよく聞かれます。しかし大切なことはむしろ「陰褒め」ではないかと思います。私が立て直すことができたレストランチェーンでは、徐々にですが、誰かが素晴らしいことをすると、社長の私に次々に「陰褒め」が聞こえてくるような会社になりました。
これは「ありがとう」の追求という経営理念の共有・共感が進み、共鳴・共振し始めたからだと思います。そういうことを積み重ねていった結果、社員やアルバイトの皆さんの満足度が目に見えて上がりました。そして、それにつれてお客様の満足度も上がっていったのです。その結果、社長の私は本当に毎日の仕事が楽しくなりました。
私は、今後とも多くの企業で、このような組織風土の変革をお手伝いさせていただきたいと願っています。組織風土改革は簡単にはできません。時間がかかりますが時間がかかったものだからこそ、他社が容易に真似できないものになるのです。利より信を追求する経営の旅に終わりはありません。