INTERVIEW
MATSUMOTO YUMI

松本由美

株式会社アイズ 代表 https://heart-houmon.com/about

略歴

元々は保育士になるという夢を持っていたが、中学の時の先生に「お前は看護師が向いている」と言われ、その道に進んだ。病院で看護師として勤める中で、疑問に思う点が増え、「患者様に寄り添った看護をしたい」という思いが芽生え、訪問看護の道を選ぶ。その後、2016年に株式会社アイズを立ち上げ「はぁと訪問看護ステーション」を開設、2023年4月には「重度障がい者グループホーム笑恵」も開設。利用者様とそのご家族、従業員とそのご家族の人生、命を預かっているという責任感を胸に、精一杯のことをしたいと思っている。

現在の仕事についた経緯

病院では個別に関わる時間が少なく、ほとんどが流れ作業。昔勤務していた病院では、繁忙すぎて話を聞いてあげる時間が取れませんでした。そんな中、ある生活保護の患者さんがいて、足の痛みがひどくそれに対していろんな提案をしたのですが、医者からは「そんな高額の薬は出せない」、上司からは「だれがやるの、いつするの、そんな時間はない」との返答でした。いたたまれない気持ちでその患者さんには「ごめんね」としか言えませんでした。その時の患者さんの絶望的な目が忘れられません。
「もっとしてあげられることはたくさんあるのに、なんでできないんだろう」という気持ちの中、病院を退職しました。もっと患者さんに対して個別の看護がしたい、もっと患者さんに寄り添った看護がしたいと思い訪問看護の道を選びました。
雇われ管理者ではありましたが、自由にさせてもらっていました。当時の上司はケアマネジャーで利用者のことでよく口喧嘩をしましたが、お互いに思うのは同じことでした。最後は部下の私がすみませんと頭を下げる形にはなりましたが、その上司にはいろんな意味で教えられたと思っています。
自分で事業を立ち上げ、今では重度障がい者のグループホームを立ち上げるまでに至りました。訪問看護もグループホームも人を看る仕事です。弱い人たちが少しでも元気になってほしいという気持ちでいます。

仕事へのこだわり

利用者やその家族の思いに寄り添っていくようにしています。訪問看護は直行直帰なので朝の朝礼もないですが、みんな情報をきちんと共有して訪問に行ってくれています。月一の全体ミーティングにはほぼ全員参加し、思い思いの気持ちや悩んでいること、困っていることをスタッフ全員で話し合い、解決に向けて動いています。
グループホームは朝礼から始まり、玄関やポーチの清掃から始まります。玄関は施設の顔ですから、周りから見ても清潔感あふれるようにしたいですし、近隣の方も出てこられるのでしっかり挨拶をすることで、親近感を覚えていただけると思っています。
スタッフに関しては、プロとして誰一人泣き顔や苦しい顔を利用者様に見せないように指導しています。スタッフが不安そうだと利用者様も不安な気持ちになってしまうからです。仕事は楽しくするものと教えているので、個別に話を聞く機会もあります。1年に2回、個別懇談をして仕事に対する悩みや困りごとを聞いてスタッフ全員が同じ方向を向けるようにしています。いろんな利用者がいる中、一人で抱え込まずなんでも話し合える上下関係を構築しています。
私はスタッフが提案してきたことは否定しません。やってみてうまくいけばOK、失敗だったらまたみんなで考える、というように全員で一人の利用者をみるようにしています。なので受け持ち制にはしていません。みんなで看る。これがスタッフの士気を高めることにつながっているのかなと思っています。

若者へのメッセージ

〝資格をとることがゴール〟ではありません。そこからがスタート。
〝親に言われたからこの資格をとった〟〝周りがとったから自分も〟ではなく、なぜこの資格を取りたいと思ったのか、そして自分の資格を活かしてどんなことができるんだろうと常に疑問を持って生きてほしいと思います。
一緒に頑張りましょう!応援しています。