INTERVIEW
ルミコ・ハーモニー

LUMICO
HARMONY

一般社団法人LITTLE ARTISTS LEAGUE 代表理事 https://www.littleartistsleague.org/

略歴

新卒でバンダイに入社。新規事業室BtoBチームで様々な大手企業とのプロジェクトを歴任。子会社化したキャラ研にて絵本「くまのがっこう」シリーズの総合プロデューサーとしてメディアミックス戦略に成功。フィンランド人と結婚後、3児をトリリンガルで育児。ブラジルにて1年の逗留後、2015年にアーティストとしての活動を本格化すると同時に国際交流を支援するNPO法人The Global Families設立。2016年、LITTLE ARTISTS LEAGUE設立。2022年3月、社会課題をアートで解決するグローバルアートチームとして、非営利型一般社団法人LITTLE ARTISTS LEAGUEを設立し代表理事に就任。

-現在の仕事についた経緯-

日本に唯一足りないところを挙げるとしたら、多様性を認めることや自己肯定感であると思います。アートを通じて多様性に寛容な社会を作るため、月例バイリンガルアートワークショップを実施しています。次第に展覧会や大型ワークショップの企業からの発注も来るようになり、コロナ禍で病児などスペシャルニーズキッズも看過できず支援活動をスタートしました。
初めて行ったオンラインワークショップでは、ダイバーシティアート「やさしさの花」が誕生しました。年齢や国籍に囚われず誰しもが素晴らしい作品を制作でき、「やさしさ」によってダイバーシティを考えるきっかけになるアートプロジェクトは、一気に人気が広まり、東京のITOCHU SDGs STUDIOや横浜美術大学など様々な所で展覧会やワークショップを実施しました。
その他、環境アートMASKBOOKなど、社会課題をアートで解決するアートプロジェクトも多数実施しています。

-仕事へのこだわり-

私にはコネ入社できるネットワークも財力もやりたい具体的な企画も起業できる知識もありませんでした。ですから兎に角、目の前にあることを全力でやるしかないと思って取り組んできました。

またチャンスにも貪欲で、何か誘われたり依頼があったりした時は、断るという選択肢はありません。受け取ってからやり方を考えるということを積み重ねてきました。特にやりたいことも、趣味もなかったので、一番わからないアートを見ては感じて考えるということを新人時代から繰り返してきました。次第に、「これ自分でも作れるな」と思い始め、実際やってみるとその難しさを痛感し、常に体験を大事にしてきました。体験して、自分が感じて、考える。その積み重ねの上に今があります。20年ほどそのようにしてきたので、今では自分の判断に迷いはありませんし、即決断できます。

昔は、自分1人でやるのが好きでした。自分の裁量で取り組めるし、意思疎通のための会議も必要がありません。しかし、このままでは結婚できないなと感じ、同期5人で共同生活を2年してみました。自分ばかりではなく人との協調性を持つことでのバリュー開拓にトライしてみたのです。その後3人で3年の共同生活を経て、突然出会ったフィンランド人と結婚することになりました。仕事も結婚生活もさほど変わらず、共同生活で鍛えたパートナーシップ(のちにこれをハーモニーと呼びます)力で、喧嘩一つない幸せな結婚生活を送れています。

仕事でも、絵本IPの版元の総合プロデューサー時代には、JALやKFCナショナルキャンペーンや映画展開・展覧会展開、料理教室やオイシックスの野菜便など様々なコラボレーションを仕掛けました。そのコラボレーションを発案して交渉して走らせるまでという一連の仕事に自分の特性が非常に合っていると発見しました。

結婚出産を経て、アートチームを立ち上げた際にも、様々なチームとのハーモニーによって展開させてもらえてきたなと感じています。

-若者へのメッセージ-

自分には何もないと思いがちです。私もそうでした。何の強みもなく、経験もなく、自信もありませんでした。しかし誰しも「始まりがある」と気づいたのです。誰しもそこからスタートするのです。ひたむきにできることを一つ一つ積み重ね、好奇心のセンサーを磨き、常にPDCAを高速回転しましょう。数年できっと自分の強みや弱み、そして興味のあることが見えてきます。その後は、よりそのフィールドへ行き、行動するのみです。

振り返ったら、歩いて来た軌跡が見えるでしょう。それを糧とし、更なる進むべき光を見つめながら、やりたいように幸せに生きる。それが短い人生の楽しみ方だと思います。もし何もないところからスタートしたのならば、一つできたことは感謝の気持ちで一杯になります。いかなる時も驕らず感謝の気持ちを持っていれば、より多くの人とハーモニーでき、自分の存在意義が見えてくるでしょう。

日本社会では、将来のために今歯を食いしばって頑張れと言われがちです。しかし、フィンランドの世界を見てきた私からすると、「今幸せであること」が人生の最大の目標であると強く言えます。確かに長期的視野を持って、努力を重ねることは重要なことです。しかし、人に言われた目標や敷かれたレールを進んだ先に、幸せはありません。ただ、やりたいことや、人生の目的がわからない人がいるだけです。

今からでも遅くはありません。何かに絞って、経験して考えて実行して反省してみることを積み重ねると、きっと自分なりの人生が見えてきます。その何かを選ぶ際には、多幸感を感じられるトピックにしてみてください。