INTERVIEW
KURAHASHI ISSEI

倉橋一成

FastManage株式会社 代表取締役 https://fast-manage.com/

略歴

2011年に東京大学医学部にて統計学の博士号を取得し、iAnalysis合同会社を設立。ドコモやリクルートなど大手企業数十社にデータサイエンスやAI活用のコンサルティングを行う。2021年、クレディセゾンのCDO(Data)を経験し、高砂熱学工業顧問(CDXO補佐)を務める。経営自体にも興味があり、データ活用の方向から企業成⻑を加速させるように経営層を補佐しながら、経営の実践を学んでいる。1兆円企業・事業の経営が目標。2023年、AIによる経営利益創出AIプラットフォーム、“ファスマネAI”を開発中。FastManage株式会社を設立。現在プレシードで資金調達しつつ拡大中。著書に『ビジネス統計の教科書』(マイナビ出版)など。

-現在の仕事についた経緯-

東京大学で医療分野のデータ分析・機械学習・AIを学び、卒業後にそれらを医療だけではなく他の一般企業・産業で活用するためにiAnalysis社を設立し、大手大企業を始め、さまざまな会社にコンサルティングを行って企業利益を創出してきました。
近年、ChatGPTの登場によってAIの社会活用が加速する中、私もデータサイエンスやAIを活用してきた身として、“データとAIで社会を更新し続ける”というミッションを掲げてベンチャーのFastManage株式会社(ファスマネ)を立ち上げました。
企業利益を創出するAIプロダクトを開発するため、VCなどから資金を募っています。

-仕事へのこだわり-

コンサルティングを行っているときは、顧客やクライアントのニーズを探り、データで課題を解決する方法を考えてきました。大学で学んだ統計学を単なる学問として受け止めるのではなく、実際に活用する“実学”として応用してきました。技術を突き詰めるというよりは、企業のPLに響く利益に直結させる為に、ビジネスモデルのどの部分に着目してデータを活用するかを熟考しており、利益に響きやすいものから優先順位をつけてデータ整備や分析を行いました。その結果、NTTドコモやクレディセゾン、高砂熱学工業といった大手大企業で、利益に直結するデータサイエンスを行うことができました。
またベンチャーや開発といった面では、“とにかくアジャイル!”を大事にしており、ファスマネ社のバリューでも掲げています。これも顧客やユーザーの目線が先にあり、顧客のニーズを満たすようなものを作っていくために必要な考え方です。ベンチャーが成功する最も大事な要素にPMFという考え方があり、これもユーザーに認められてマーケットフィットすることを表しています。コンサルティングもベンチャーも、顧客やユーザーが第一ということにこだわって活動しています。
余談ですが私はアートもやっていて、油絵を描いてAtelier-isseiという名前でパリで個展をしています。その油絵も、私の絵が良いといってくれる友人の勧めやお題に沿って描いていることもあるので、ある意味ユーザーの声を聞く形で描いていることで、フランスでも認められています。ユーザー目線はとても大事ですね。

-若者へのメッセージ-

自ら自発的に動くことを意識して仕事をすることが大事だと思います。IT開発の分野ではオフショアといって、日本と同じくらいの能力の海外エンジニアが、日本よりも安い単価で開発してくれます。日本語と英語の壁があるので、単純にオフショアを使えば良いというものでもないですが、AIが発達してその壁もなくなるかもしれません。
また、エンジニアリング自体もAI化する可能性が高いです。IT開発だけでなく、建築の分野でも海外人材を活用する動きが増えてきています。そうなったときに必要なのは、やはりニーズ把握力や、人とのコミュニケーション力といったヒューマンスキル・自発性なので、どのような分野の方でもそういった部分は磨いていくと良いと思います。
AIがこれから発達すると、基本的な課題の解決はAIがほとんどできてしまうという世の中になっていくと思われます。そのときに必要な能力は、先程のニーズ把握力などに加えて、課題発見力だと思います。どのような場面でどんな課題があるのか、困っている場面でどんな解決策があるのかなど、広い視野で分析できる能力はこれから必要とされると思います。