INTERVIEW
KUBO KATSUKI

久保勝喜

合同会社フェリックス 代表社員 https://playland-day.com

略歴

長崎県立大村工業高等学校を卒業後、新卒で半導体工場に入社。4年後に社会福祉の道に興味を抱き、九州環境福祉医療専門学校長崎校に入学。介護老人保健施設で4年勤務後、高齢者分野から障害児者の分野に変え、社会福祉法人で十数年勤務後に児童福祉分野で独立。

-現在の仕事についた経緯-

私がこの仕事を志そうと思った約20年前は、社会福祉なんて言葉さえも知りませんでした。それまで工場勤務で機械相手の仕事しかしてこなかった私でしたが、可愛がってくれた祖母の入院をきっかけに福祉の仕事に興味をもち、人と人との関わりを大切にする社会福祉の仕事を目指しました。
それから高齢者、障がい者、児童と関わり、20年経って児童福祉の分野で独立しました。児童という性質上、多くの関係機関との連携が必要になるということが独立のきっかけでした。
家庭、学校、医療、様々な機関が協力しながら子ども達の成長を助け、療育を行います。大きな責任と大変さはありますが、大人になっても住み慣れた地域で安心して生活できるようマネジメントしていけることは、自己満足かもしれませんが、充実感のある仕事だと思っています。

-仕事へのこだわり-

私がこの仕事で大切にしていることは3つあります。

一つ目は、対象となる子ども達はもちろん、その保護者への共感と受容です。子ども達に何らかの特性があると知らされた保護者の方たちは凄く悩んでしまいます。もしかしたら、誰にも相談できないかもしれません。悩んで悩んで、最後の最後に福祉の扉を叩きます。そういった保護者の方たちに安心していただくことが、児童福祉の第一歩だと考えています。

それともう一つ大切にしていることが、どんな子ども達であっても可能な限り受け入れることです。障がいの重たい子や身体障がいの子たちは、事業所になかなか受け入れてもらえないことが多いです。この仕事は売れば売るほど収益が出るといったものではなく、一日の利用定員が決まっていて、報酬単価が決まっていれば収益の上限も決まってきます。軽度の子も重度の子も報酬にあまり変わりがないのであれば、軽度の子を受け入れた方がいいと考える事業所も、悲しいことに存在しています。
しかし、それでは本当に療育を必要とする子ども達に、支援の手が行き届かなくなってしまいます。人を選ぶような福祉は福祉ではなく、本当に必要な人たちに必要なだけの支援を提供することが、本当の福祉だと私は思っています。どこかがそういった子ども達の受け皿にならないといけません。だから私の事業所では受け皿でありたいと考えています。「困ったときにここならどうにかしてくれる」「何とかしてくれる」そういった事業所であるために、可能な限りどんな障がい特性をもった子供でも受け入れるようにしています。

最後が、子ども達の将来を考えた療育を行うことです。子ども達は一人ひとり、個性も違えば障がい特性も違っています。全員が全員まったく同じ療育で良いはずはなく、それぞれの特性に応じた個別の療育を行ってこそ本当の療育だと考えています。そのためには行き当たりばったりの療育を行うのではなく、子ども達が何に困っているのか、どこを改善すれば生き辛さから解放されるのか、しっかりアセスメントを行い、子ども達の目線に立ち、可能であれば自立して生きていけるよう療育を行っていきます。

-若者へのメッセージ-

石の上にも三年という言葉があります。何事も納得いくまで継続をしていくことが大切だと思います。立派な大学なんて出ていなくてもいいのです。結果が出なくてもいいのです。継続して一つの事を成していくことで、気づいたときに大きな人脈や自信に繋がります。
私自身も高卒、専門学校卒で学はないですが、社会福祉の分野で仕事をし、約20年経って独立起業を考えたときに、支え助けてくれる人たちが本当に沢山いました。起業した後も助けてくれる人たち、変わらず接してくれる人たちに支えられてきました。
仕事でも勉強でも趣味でも、とにかく我武者羅に継続し頑張っていくことで、その先に大切な「縁」が紡がれていることに気付くことができれば、何事も上手くいくと思います。そしてその縁を大事にし、多くの人たちに支えられながら生きていることを自覚し、さらなる縁を紡いでいってほしいです。