INTERVIEW
KATAYAMA KEITA

片山恵太

片山衣料株式会社 代表取締役 https://www.katayamairyou.com/

略歴

京都造形芸術大学デザイン学科環境デザインコース卒業。新卒で京都の某造園会社に入社し、会社の倉庫にて住込み5年、横浜の某設計事務所に転職し約3年在籍。その後、家業である片山衣料株式会社に入社し現在に至る。少子化で制服を必要とする生徒数は年々減少する中、制服の多様化やサブカルチャー的側面にアンテナをはり、従来の収益モデルに固執することなく様々なイノベーションを手がけている。

-現在の仕事についた経緯-

大学、最初の職場、2つめの職場では自分が元々興味を持っていた空間デザイン、主にランドスケープに関わることをしていました。2つ目の職場で教科書に載るような大きめの仕事にいくつか携わることができて、達成感(と共に途方もない疲労感)を感じることができました。そのタイミングで家業の事業承継を真剣に考える機会があり、リセットボタンを押すのも面白いと思ったのが現在の仕事に就いた経緯です。
小さな頃から小僧として時々手伝っていたので、大まかな仕事内容には理解がありましたが、少子化の中で今後の発展には疑問があったので、継続+αで次の30年をどうするか?を考えながらの入社でした。

-仕事へのこだわり-

自分が社会人になった最初の職場では、就職氷河期の時代ということもあり、時間を無視して働いていました。ただ寝床が会社のデスクから数歩先の倉庫の一室だったのですぐ横になれましたし、昼休みには洗濯などの私用もこなせていました。たまに賄いももらえましたし、車も置かせてもらえたので楽しかったです。
一方、2つ目の職場は10駅先のアパートに一人暮らしという環境になりました。終電に乗り遅れて夜通し仕事をする状況が常になったため、働き方以外のプライベート環境の構築がボロボロになり、結果的に心身共にとても大変な時期でした。しかし、仕事内容は面白かったです。
現在の職場はまた職住近接に戻って楽になり、そこからプライベート環境をちゃんと整えることで仕事にも打ち込みやすくなりました。こういった当たり前にわかることを身をもって実感したので、プライベートの時間を犠牲にせず、業務に当てる時間の中で最大限の成果物を出すように心がけています。
そこでもう一つ実感したことが、経験上、仕事はダラダラやっていてもいい成果は出ず、意外とプライベート時間の最中にひらめいたアイデアが仕事の成果に繋がるということです。
オン・オフをつけるというよりは、頭の中では常に仕事のことは残っていて、プライベート等の仕事以外の刺激がきっかけでシナプスが繋がるイメージです。この現象は、プライベートの時間のみならず、「これって本当に業務に関係するの?」と一見感じる当社に届く様々な企業様のご提案に関しても起こることがよくあるので、まずは話を聞いてみて、自分だったらこのケースではどうする?もしこうなったら?と考えるようにしています。いただくお話は自分の知らない業界のプロの方のお話ですので。

-若者へのメッセージ-

当社は学校制服を手掛けている会社ですので、自治体の出す児童数の推移はよく見てきました。毎年、一歩一歩と階段を下りていくように減っています。つまりは純粋に制服を着る子が減っているということです。地域のシェアを独占していたとしても、5年先に売り上げは1~2割は減る予測です。これは制服業界だけの話ではなく、日本を含む東アジア地域の様々な産業に関係する話で、今後こういう時代背景の中で生きていくことになります。
ただ、AIをはじめとする技術革新による変化が激しい時代ですので、今までなかったようなチャンスも若いうちからたくさんあると思います。社会人になってからのほうが覚える必要があることが多くなっているでしょうから、「置きに行く」ことはやめておいた方がいいと思います。
「置きに行く」という言葉は、自分のしたいことにチャレンジをするのではなく無難なことをする感じのニュアンスだと思いますが、それで選んだ無難な選択が今後も無難であるかはわかりません。出過ぎたことをしていても数年後には陳腐化していることが多いので、ぜひ積極的にチャレンジをしていってください。でないと変化の激しい流れの中でどんどん埋もれていくと思います。頑張ってください。