INTERVIEW
ISSHIKI JUNNOSUKE

一色淳之介

株式会社ゼスト 代表取締役社長 CEO https://zest.jp/

略歴

東京大学農学部を卒業後、東京大学大学院農学生命科学研究科を修了。新卒でP&Gジャパンのマーケティング部門に入社し、日本及びシンガポールでヘアケアブランドのマーケティングに従事。2013年に創業期の株式会社ヤマトキャピタルパートナーズ(現・株式会社YCP Solidiance)に参画。パートナーとして、様々な企業に対するマーケティング、経営戦略、さらには新規事業立案等のコンサルティング支援を行う。また投資先であったエンターテインメント企業(2023年に東証グロース市場に上場)においては自らが役員として、事業戦略・組織戦略・資本政策などを牽引し、事業再生を実現。2022年9月1日付けで株式会社ゼスト代表取締役社長に就任し、現在に至る。

-現在の仕事についた経緯-

弊社の株主であるミダスキャピタル代表の吉村さんから「面白い会社がある」と紹介してもらったのがきっかけです。
以下3点がゼストへの参画を決めた理由です。
①フィールドが面白いこと。
人口構造や政府指針を踏まえ、在宅医療・介護領域は今後大きく成長していきます。一方で課題も少なくありません。団塊世代の全員が75歳を迎える「2025年問題」や介護の人手不足は、放置できない問題です。
②会社のステージが非常にアーリーであったこと。
これから作り上げていく段階で、前職であるYCP創業期に参画したころの高揚感を思い出しました。
③何のために働くのかが明確なこと。
在宅医療・介護業界の課題は他人事ではありません。日本にとって重要な社会課題に対し、微力ながら、少しでも役に立てる、そういう喜びがありました。社会人経験を踏まえ、社会貢献への意識が芽生えてきた感覚です。

-仕事へのこだわり-

仕事へのこだわりになると、やはり新卒で入社したP&Gの時のカルチャーが染みついているかもしれません。以下、3点をあげさせていただきます。
1つめは、「Do the right thing」。
語順が違う「Do the things right」は、正しく(正しいやり方で)やる、という意味ですが、「Do the right thing」は正しいことをやるという意味。語順だけの違いですが、実際には大きな違いがあります。
ビジネスでは、やるべきこと、やったほうがいいけど限られたリソースの中で今はやらなくてもいいこと、間違ったことなど、多数の選択肢があります。「Do the right thing」は、市場環境・自社の資源・競合状況などの多様な要因を踏まえ、今取り組むべきことを正しく選定し、実践することです。
2つめは、「Consumer is Boss」。
顧客理解を徹底し、顧客のインサイトを掴み、そして顧客を喜ばせることを追求することだと理解しています。
弊社においてもどのようにプロダクトを進化させていくべきかという議論は重要です。社長の私がこう言ったから、営業取締役がこう思うからではなく、「徹底的な顧客理解とインサイトをもとに、だからこうします」というのを大事にしてもらっています。また、顧客理解を常に起点で考えられる会社を目指しています。
最後の3つめは、「定量化と想いのバランス」。
可能な限り事業をKPIによって定量的に管理します。曖昧なものではなく、数字で評価することで、改善に対する方針も建設的に議論が可能になります。
他方、数字や理論だけだと社員がついてこないケースもあります。Visionや夢に近い想いの部分も大事です。人を動かすには理論だけでなく感情も必要で、そのバランスを大事にしています。

-若者へのメッセージ-

「倒れる時も前のめり」が座右の銘です。
言葉の通り、上手くいくのか・自分に向いているのかよりも、単純に面白そう・チャレンジしたい、ダメでも仕方ない。倒れても前に倒れたらいい。という感覚で仕事を決めてきました。
前職のYCPに参画するときも、グローバル企業のP&Gに勤務し、アジア本社であるシンガポールでマーケティングをさせていただき、特段会社に不満はなかったです。評価もされていたと思います。
他方、当時のYCPはまだマンションオフィス、社員も数人、どうなるか分からない状況でした。でも、創業者やそこにいたメンバーと一緒に働ける環境、これからの成長に単純にワクワクし、P&Gの退職を即決しました。
ゼストも一緒です。YCPではパートナーを務め、会社としても上場し、メンバーにもお客様にも恵まれ、不満は全くありませんでした。単純に新しい挑戦にワクワクし、勝算があるという計算より、感情優先の判断だったと思います。
働く時間は人生で大きな部分を占めます。給料や社会的なステータスといったものも大事だと思いますが、働く時間をいかに楽しめるかが大事だと思います。
学生時代の勉強や部活のように、自分の成長や結果を出すために必死になれる、そんな感覚を味わえるのか、味わえているのかを大事にしてもらえたらいいのではないかなと思います。