INTERVIEW
HAGA SOUICHI

塀和壮一

株式会社ファーストシーン CEO https://first-scene.jp/

-現在の仕事についた経緯-

大学の頃は、学生起業も行い商売の基本を学んだり、後々総合不動産業を展開しようという考えのもと宅建士の勉強をしたり様々な資格取得をしていました。
また私の父も海外を相手に後世に残る大きな仕事をして活躍していた影響もあり、卒業後は海外物流を行っている上場企業に就職し、若いうちは世界で活躍したいという思いで日夜奮闘していました。その経験はのちに行う海外不動産事業に大きく活かせました。
その後、当時、世に出始めたばかりの立体駐車場の施工会社を設立起業しようと退社をし資力をつけて、不動産会社開業の準備をしました。

27歳で、順調に経営していた立体駐車場の施工会社を売却し、新しく不動産会社を立ち上げ総合不動産業が展開できるように力を入れることになります。
不動産業者で東京都城東エリアNO.1の売上額、供給棟数連続5年の実績のもと、新たなるステージを目指し株式上場プロジェクトをスタートさせました。

しかし株式上場を目指し連続13期増収増益と計画通りに業績を順調に上げ、上場申請の許可が下り、上場日約1ヶ月前となったところで2008年に起こったリーマンショックによる未曾有の危機の余波に会い2010年に上場申請を取り下げる決断をしました。
長い年月と莫大な費用をかけて取り組んできたIPOプロジェクトは非常に残念な結果となりましたが、悔しさは過去でなく未来にぶつける!という想いと、経験の価値を信じる!と、気持ちを切り替えました。
私は上場に失敗した際、非常に落胆しました。その時の銀行の態度は鮮明に覚えています。上場の中止を知ったとき、銀行はショックを受けていませんでした。

上場直前での上場中止、失敗よりも、貸付金が回収出来るか、私が民事再生を申請しないかをもの凄く心配していました。
そんな銀行の態度は、私にとって 良かったことなのかもしれない。
なぜなら私は地域や関係者、業界や社会貢献のために自分の全財産をかけて上場を成し遂げようとしてきました。
しかし、貸付金の回収について焦る銀行を見ていると、おかしさよりも怒りを感じました。
そして本当におかしいのは、私ではなく貸付金回収のみに走る銀行なんだということに気付きました。

当時、15行の金融機関や投資ファンド、複数の建設会社などに約100億円の負債があり、返済のために必死に経営の立て直しに取り組みました。その後の会社経営を考えると10年かかりましたが、逃げずに全て完済したことは経営者として大変良い経験となりました。
また、その危機から逃げずに今でも会社に残って一緒に仕事をしてくれているメンバーには本当に頭が下がり、感謝しかありません。

負債処理にひと段落ついてからは原点に戻り、あらためて私個人や弊社は社会のために何ができるのか、何を必要とされているのか、後世に何を残せるのかを考え抜きました。
私個人は大学院に通い投資、企業再生、M&A、ファイナンスの勉強をし直しMBAを取得しました。
また同時期に会社の幹部達と日夜議論した結果、今後は障がいを持った日本の未来ある子供たちのために「相談支援」「一時預かり」「児童発達支援」「放課後等デイサービス」「ショートステイ」「就労移行支援」事業などを総合的に展開、運営する教育の上をいく療育全般の専門会社を6社設立し、障がい者児童に対して結果を追求した一つの療育グループ企業群を作りました。

-仕事へのこだわり-

私たちのグループ企業群は、障がい者児童福祉事業を行うにあたり特に3つのこだわりがあります。

第一に、「一気通貫型の新しい療育の形」を提供するというこだわりです。
イメージ的には幼稚園、小学校、中学校、高校、大学の一貫教育を提供している学校法人です。
従来、既存の障がい者児童福祉施設は、児童発達支援施設または、放課後等デイサービス施設のみを単独で行う形か、若しくは児童発達支援施設と放課後等デイサービス施設を合わせて行う施設が一般的です。
弊社グループは障がい者児童福祉施設の利用を検討する窓口となる相談支援事業所という療育の入口の施設から日中に療育する児童発達支援施設、放課後等デイサービス施設、夜間に療育するショートステイ施設、それら以外の隙間時間に利用できる一時預かり施設を展開し、これまでにない「一気通貫型の新しい療育の形」を実践し広めていこうとしています。
一気通貫型により児童一人一人の強み、弱み、特性など大事な療育情報が弊社グループ全ての事業所、施設の先生や職員間で共有され活かされるため、保護者の期待に応えられ、且つ児童の成長にとっても大変有意義なものとなります。
通常だと通う施設が違うため、当然先生や職員も違いますし、情報が共有されることはなく児童への療育にとってあまり良くありません。
児童や保護者にとっては、それぞれ全く異なる環境となり、先生や職員と一から関係を築く必要があります。
障がいを持った児童には環境の変化を最小限にして児童へのストレス、フラストレーションを少なくすることは非常に有効な療育につながります。

第二に、「昼+夜で長時間の一貫性のある療育」をテーマにしているというこだわりです。
今、東京では日中に子どもを預かって療育していく施設が増えつつあります。
しかし、夜間も療育を行っている施設が欧米に比べてとてつもなく少ない状況です。
本来の療育は学校帰りの昼間の短時間で行うよりも一泊して、先生や他児童と一緒に生活する中で、歯の磨き方や宿題のやり方、服はこうやって畳むんだよ、布団の上げ下げこうするんだよ、と複数人で泊まり、集団で療育生活することによって得るものが多いいと考えます。
ですが、世間の目を気にして宿泊させなかったり、親の事情で預ける判断をしなかったり、そもそもこのような夜に預けて宿泊をしながら療育をするという施設があることが今の日本ではほぼ知られていません。
子どもの成長は物凄く早いものです。ある程度の年齢に達したら療育をしても効果が著しく下がります。より早い時期からの長時間の療育開始が効果があります。日中に2〜3時間預かる施設に入れただけでは不十分です。
先生や、同年代のお友達と1泊2日や長時間の生活を共にして、ルール、マナー、エチケットやしつけだとか、理解できることを増やすことで社会に出てから役に立つ、得るものが必ずあります。
親が忙しくゲームを与えられるだけ、会話や体験をさせることも無く放置されている子供よりは、皆んなで過ごすことで安心して落ち着いた子にもなります。今現在、弊社グループの考え方に賛同し、一緒にやっていきたい!とフランチャイズ契約締結を切望して頂いている方々が多数います。しっかり準備をして東京、関東、日本中に我々の仲間を増やしていきたいと思います。
まだまだ課題は多くありますが、今後の日本の為に、幼少期から「昼+夜の長時間の一貫性ある療育」をしていこうという取り組みや、夜間の障がい者児童福祉事業の重要性を私自身のライフワークとして頑張って広めていきたいと思っています。
現状は、法律的に見ても、欧米諸国に比べて日本は20年~30年ぐらい遅れていると感じます。
また、障がい者に対する目や考え方が日本と海外では全く異なることへジレンマを感じております。
私はこの昼+夜の長時間療育の考え方を日本で当たり前にしたくて、今の事業を始めました。
たしかに日本でも、バリアフリー法や交通機関では乗車補助をしなくてはいけないなど、いろんな法律が整ってきています。
私は日本の障がいを持った子ども達が明るく、元気に、勇気をもてる世の中にしていかなきゃいけないと強く思っています。

第三のこだわりは、「不動産会社が福祉事業をやる」ということです。
私たちグループの中核企業はあくまでも不動産会社です。
実は私は、不動産会社が展開する障がい者児童福祉事業ということに強いこだわりを持っています。

「土地+建物=事業施設」

ホテルでも遊技場でも多くの会社は土地に建物を建て事業を行っています。
一般的には土地は不動産業者から購入し、建物は建設会社に発注し建ててもらいます。
当然それらには各々その企業の利益が乗っています。
児童福祉施設を運営する会社はその利益が乗ったものを買うか、借りるかします。
結果的に福祉事業運営会社の利益は少なくなり、先生や職員に支払う給料にも制限がかかります。
福祉関係の職は他業種と比較し給料が低いと言われていますが、総合不動産業者の私たちは土地を安く手に入れ保有し、施設建設も自社施工にて安価で行えます。

「安い土地を購入し保有し、安価で建物を建てる」

このことにより先生や職員の給料も多く支払え、より優秀な人材を採用できます。
結果的に児童に対する療育の質が向上します。

-若者へのメッセージ-

私は、 「一」番、「美」しい仕事をするよう心掛けています。

その仕事は美しいか? という視点が大事だと感じています。
拡大や量に走ったり、地位や名声を得るために仕事をせず、結果や仕上がりが一番美しいと言われる仕事、事業、会社作りを目指しています。
いくら収益力の高い会社を作っても、やり方が美しくないと世間から支持を得れません。反対に行っている仕事が美しいと存在価値があると見られます。
これは会社も個人も同じです。私自身まだまだですが、生き方、人生も「一」番、「美」しいと言われるようにならなければと考えています。

また、「その仕事に執着心はあるのか!?」と考えるようにしています。
当たり前ですが、執着心が無い者とある者では何ごとにおいても結果は大きな差になります。
そのためには「やるべきこと」を軸に仕事をせず、「やりたいこと」を軸に仕事を選び自分の人生を生き切るべきです。
大切なのは「自分はどう生きたいのか」ということで、それをいつでも軸に据えて、私自身は行動、仕事をしています。
何か1つ志を持って軸をぶらさずにできること、心が震えることを見つけることがいいと思います。見つけたらぜひフルスイングでやる!と決意を固めてやってください。
とにかく様々な経験をして、失敗しながらもまずなにかをやり始めることが大切だと思います。

それが私は障がい者児童福祉において「一気通貫型の新しい療育の形」と「昼+夜で長時間の一貫性のある療育」を、これからの日本のスタンダードにしたい!ということでした。
これまで私は大好きで不動産事業一筋で行ってきましたが、この障がい者児童福祉の日本の現状を知り、特に夜間の障がい者児童福祉事業に心を震わせ、この現状を変えたいと思い失敗も重ねながらも取り組んでいます。

今は、電気メーカーが自動車メーカーになったり、自動車メーカーがジェット機を作ったり、携帯電話通信会社が何兆円も集め運用する投資ファンドになる時代です。
1つのことを、一生懸命やり続ける匠の技のようなものを追求する生き方も素敵ですが、新しい「これだ!」と思うことができたら、大転換して、また突き進んでいくという人生も面白いと思います。

世の中にない新しいことにチャレンジすることはとてもエネルギーがいりますし、難しいことだと思います。
ただ志があれば、何歳になってでもゼロスタートでやったぞ!ということがあれば毎日が面白く、熱中して、色々な事へ挑戦ができるとこの歳になってつくづく思います。

最後に皆さんへのメッセージを書きます。

決して量産型の人間にはなるな!
「人生」や「人間」という大きな大きなスケールで考えて仕事をやれ!
今の世の中での立ち位置、生活の維持、そんなことばかり考えていないで、今日を精一杯生きているのか!?守りに入ってないか!?と自身に問いかけてください。
私も立ち止まっていてはいけないと常に自身に言い聞かせ頑張っています。
是非皆さんも悔いのないよう頑張ってください!