INTERVIEW
FUKUMOTO KOJI

福元康司

株式会社ソルナーク 代表取締役 https://solnarch.com

略歴

早稲田大学理工学大学院卒業、ソニー株式会社に入社。在社中36年間にわたり、先端技術を活用した世界初の技術、デバイス、商品、サービス開発に従事。世界初の積層裏面イメージセンサー開発では、独自開発した完全定量物理シミュレーションで貢献、シミュレーションによる試作なし先行開発プロセスを構築。その業績によりソニーMVP受賞。その技術をレーザー、ディスプレイ、スマホ、カメラ、ヘッドフォンなどの重要課題に展開、商品化に貢献。Corporate Distinguished Engineerに任命され、ソニーグループ全体のデジタル世界に対応する技術戦略策定、経営陣への提言を行った。2023年4月に起業し、人の内発的行動メカニズムを解析、予測する独自手法により、顧客の真のニーズに応えるマーケティングを提供する事業を展開している。

-現在の仕事についた経緯-

これまで多くの開発を通じて、技術開発はうまくいってもビジネスにならないなど、座学では得られない様々な事を経験し、その重要性が痛いほどわかり、それらを少しでも伝えていきたいと思いました。
また、若い人達にどんどんチャレンジして欲しいですが、一方で経験のある我々がチャレンジする事も若い人にない視点でイノベーションを起こせると思うので、そんな前例になれば良いと思い、起業することにしました。

-仕事へのこだわり-

世界初の技術開発をやろうとすると、前例や教科書がありません。そこでの課題をどうやって解決するかを必死に考えて辿り着いたのは、“課題の本質、そのメカニズムを見極める”ということです。一見複雑に見えてどこから手を付けたらよいのかわからないような問題も、事実関係を整理してその根本的なメカニズムを見ていくと、何が出来て、何が出来ないのかがはっきりし、何をすればよいかわかります。本質を考えれば、必ず解が見つかりますし、ずっと方針がぶれないで開発やビジネスを構築、発展させていくことができます。

近年、デジタル技術が急速に進化して、AIなどが万能のように扱われています。しかし、その本質は何でしょうか?
世の中のありとあらゆるものがデジタルモデルで再現できるようになり、現実で起こることをデジタル世界で再現したり、予測したりできる世界が構築されようとしています。また、ゲームの世界のような創造的なデジタル世界もあります。それらが融合してデジタル社会ができるでしょう。
AIは、それらを構築する技術の一つに過ぎず、今後は他の技術と融合して、形を変えながら進化していくことでしょう。今の、AIに全て任せてしまえというような風潮はあまり良くなく、AIに使われるのではなく、AIを人が使う、そういう社会的な仕組みにしていかないといけないと思います。もっと人に優しいデジタル社会にしないといけないですね。

今回の会社は、そういう想いもあって、まずはマーケティングのDXとして、画一的なデジタルマーケティングで人の内発的行動を予測・理解し、より顧客のニーズにあった商品やサービスの提供を実現したいと思っています。

-若者へのメッセージ-

最近は、オタク文化が市民権を得て、良い意味でそれぞれの若者が周りに捉われずに好きな事をやれる時代になってきたように思います。
会社が独自のブランディングをするのと同じように、個人も一人一人、自分をブランディングすることが大事だと思います。それが、お互いを尊敬し合い、存在意義を認め合い、良好な社会を形成することになるのだと思います。
かといって難しい事を考えることはなく、自分がどういう視点でものをみて、どういう行動をとるか?と自分の切り口を持てばよいのではないでしょうか?それが独自性になり、個性になり、自分の存在価値を明確にしてくことになると思います。
その為には、自分の好きな事、興味ある事を突き詰めてみるのが良いと思います。自分の好きな事だと自分独自の見方を持てますし、徹底的に突き詰められるので、流行に捉われず本質を見ることもできるでしょうね。