INTERVIEW
FUJIWARA SOICHI

藤原惣一

株式会社GVPマネージメント 代表取締役 https://www.gvpm.jp/

略歴

関西大学経済学部卒。米国ジョージアテック工科大学ESL他。帰国後とある商社兼メーカーに新卒枠で入社。海外課(貿易実務)、総務部を経て山梨県にて買収先のリゾートホテル・ゴルフ場・アミューズメントパークの再建業務に従事。現場運営(実務全般)、RCC(整理回収機構)、ファンド対応等、社長室付チーフ、総務課長として奮起する。帰阪後、営業部配属。近畿圏を担当し、薬問屋、個店薬局、大手ドラッグストアの法人営業を担当。その後、不思議なご縁で堺の福祉業界へ。2010年法人設立。

-現在の仕事についた経緯-

30歳過ぎの頃デフレ時代の風潮もあり、朝は早く、帰宅は遅い仕事人間でした。私生活では妻の妊娠(三女)をきっかけに、コミュニティの必要性やワーク・ライフ・バランスの確保を求めざるを得ない状況になりました。旧知の方が障がい福祉法人の責任者であり、前職の総務経験や法人再生のキャリアを評価頂く形で福祉業界に転職しました。
この法人も内部統制の構築が迫られており、特命業務として法人全体の「見える化」を進め、「法務・労務体制の適正化・改善」「事業計画の策定」などを行なっていましたが、いろいろと課題があったため、ある日、行政監査が入ることになりました。結果的として法人は解体。その後、行き場のなくなった利用者様やスタッフの受け皿、旧法人の事後処理として私が起業することとなりました。

-仕事へのこだわり-

実力をつけるためにがむしゃらだった新人時代、ワーク・ライフ・バランスによる人材活用の重要性を実体験した30歳頃、障害福祉の理念で人を活かす実践とそれぞれのシーズンを経験することによって仕事のSTYLEは確立されていきました。
20代は「電通の鬼十則」を叫び、暗唱し、その実践を叩き込まれました。これは「実力がなければ大きな貢献はできない」という基礎になっています。20代は漠然とした将来への不安から、なんでもできる男になりたいと焦っていました。同時に結婚・離婚・不景気など世間には様々な人生の問題がある事を知り、人が使い捨てられない、疲弊しない、「輝き・安心し・納得できる」労働・職場・人生を考えるようになりました。
自分が福祉業界に転職する際、家庭内の立て直しを条件に「手取り○○万・17時退社」を快諾して雇用してくださった御恩は忘れられません。「人が活きるも死ぬも環境次第」を実体験することで「健全さと愛と実力」の土台が造られました。
今は社長として「福祉の実践はまず社内から」をスローガンに、「人が輝く」「世と福祉をつなぐ」事業所であれるよう尽力しています。
各部署の責任者はこれらをよく理解してくれており、個々の事情と実力を鑑みながら就業条件に合理的配慮がなされ、持続的・意欲的に働けるよう様々な工夫をしてくれています。大きな会社ではこのひと手間(愛)が誤解を生むこともあるかもしれませんが、大きく労務条件を変えるまではしません。しっかりと責任を果たせるスタッフの実力を最大限に生かし、そのパフォーマンスと収入が増えるよう「公私に渡って適度な便宜を図る」ことが「合理的配慮」だと認識しています。これこそ、この時代に企業が求められている本当の多様性の姿と努力ではないでしょうか。
女性や障害当事者が持続的に活躍できる職場環境と事業戦略、そして実力のある者は経済的自立や高額安定収入を得れる公平な雇用システムを共に構築できたことは弊社にとっての大きな誇りです。

-若者へのメッセージ-

いま世間では「やりたいことを見つける、夢をかなえる風潮」が強いように感じます。
自分を知る機会として大いに結構なことだと思うと同時に、自分の本質とは何かを考えるべきとも思います。やりたい事をやりたいと思う本当の自分において、自分は何者か、どんなことに価値や喜びを見出せるのかなどを考えるべきです。
障害福祉をやっていると人間の多様性に直面させられます。内面の性格や能力、機能だけでなく、キャリア、文化においても常識が違います。障害認定されていようといまいと、私たちには得意・不得意、認知の歪みという弱さがあり、同時に、強くなるチカラが備わっています。新しい自分を発見し、自分の取扱説明書を増やしていくことも人生の醍醐味のひとつです。自分のこころを探り、置かれたところのどこででもやりがいや自身の貢献を見出せることは、仕事以前に人生を豊かに楽しむ秘訣だと思います。
そして、道徳的倫理に反する事柄でない限り「和して同ぜず」。あらゆる価値観や多様性、「あり方」を尊重すること、責任をもって自分の意見を確立しつつ可能な限りあらゆる人と平和を保つことが大事です。
可能なら「鉄は鉄によって研がれ、友は友によって研がれる」と言うように、耳の痛い助言をくださる家族や仲間に感謝し、謙虚になれる自分を育てる者が、人生の勝利者ではないでしょうか。