INTERVIEW
ETO MARIKO

江藤眞理子

一級建築士事務所 空設計工房 代表 https://sola-web.com/

略歴

国立有明工業高等専門学校 建築学科卒業。設計事務所に5年勤務。出産を機に専業主婦を8年経験。設計事務所にカムバックし、4年後に空設計工房を設立。29年が経つ。

-現在の仕事についた経緯-

職業として、最初から建築設計を選んでやっています。建築に関わる仕事がしたいと思い、その勉強をし、資格をとりました。ただし、現在のように木造住宅に特化してきたのは事務所を開設した後からになります。
事務所規模と仕事の大きさの適正化といえばそうなのでしょうけれど、人の暮らしに関わる空間作り、その中で暮らす人の精神や健康に負荷を与えたくない、同時に環境へも負荷を与えたくないという思いはいつもありました。そして事業主とそれを使う人がほぼ同じであるのも住宅の特徴です。
投資や資産運用のために建てられ、使う人のことは二の次になる建築は作りたくなかったのも一つの要因です。

-仕事へのこだわり-

略歴にあるように一度職業を離れ家庭に入った経緯があります。出産・子育てを通してある意味社会勉強の時期だったともいえます。暮らしに関わるさまざまな問題(ゴミ、食品、農薬、エネルギー、原発など)を目の当たりにしました。解決策の乏しさに思い悩み、子どもらへ住み続けられる地球を残せるか残せないかの瀬戸際であることに驚き、“自分ができることは何があるのか”その問いから現在の仕事のあり方へとつながっていきます。
自分の仕事の中でその解決に寄与できる何かができるといいな、やらなきゃいけない、それをしたいという思いで、まず環境負荷のなるべく少ない建物を作ろうと思いました。作るときも運用する時も廃棄される時も。しかしそこに住まう人が我慢を強いられるものでは本末転倒です。
「住まい手の安全と健康を担保しつつ実現するには?」その一つの答えが、結露しない安定した温湿度と安全な空気室の住宅、しかも省エネルギーで快適に住まうことのできる住宅、長寿命で何代にもわたって使われ続ける住宅、なるべく自然素材に囲まれ安らぎを与えられる、そして帰りたくなる住まいです。
この住まいは住まい手によりまたその立地条件により、規模もプランもデザインも千差万別です。オンリーワンのものが求められます。敷地を読むことはもちろん、どんな暮らしをなさりたいのかのヒアリングを細かく行い、現状の生活も見せていただき、十分な事前調査とご要望の上に計画を始めます。また実施設計、その後の工事監理においても全て自身で一軒一軒丁寧に関わって行くことを大切にしています。

-若者へのメッセージ-

生きている時間が若い方々よりは長いので、経験も少しは多いからでしょう、ある時期から生きるのが楽になったことをお伝えしておきましょう。
周りからの評価で自分をはかっている時期がありました。その間はとても苦しい思いをしていたような気がします。ライフワークが見えてきたり、やるべきことが掴めたりした頃から人の評価が気にならなくなっていきました。その仕事はどうだったんだ?とは、自分で評価するべきなのではないでしょうか。
評価は自分で厳しくするべきだと思うようになりました。その頃から生きるのがとても楽に、そして楽しく感じることができるようになった経験があります。
アドバイスを求めて本を読んだり、人の話を聞いたり、色々迷うことがあっていいと思います。遠回りしても、しまったと思うことがあっても、全ては何も無駄にはなりません。経験として自分の成長の糧になるはずです。
人の評価を気にせず、思うように生きてください。