INTERVIEW
ISHII DAISUKE

石井大輔

株式会社キアラ 代表取締役 https://www.kiara.team/

現在の仕事についた経緯は?

学生時代は理系を専攻していたものの、文系の総合商社に就職し、10年間は営業職として主にヨーロッパに駐在していました。その後ソーシャルメディア関連のベンチャー企業に転職し、事業部長に就任。事業開発やプロジェクトマネジメント、海外市場開拓などの経験を経て、コンサルティングなら1人でもできるのではないかと考えたことが起業のきっかけでした。今現在は元来の数学オタク的な部分を前面に出したプロジェクトに注力しています。
たとえば2019年から発売している「Kiara Translator」は、slackの翻訳に特化した自動翻訳システムで、リアルタイムの会話を即時翻訳し、言語はマイナーなものも含め100言語に対応しています。これは私自身が商社時代に、翻訳作業が自身のところに集中してしまったことからなんとかロボットを開発できないかと考えたことがきっかけなのですが、AIがそもそも数学の一部であることもポイントでした。
AIのような既に世間に浸透している巨大産業をはじめ、数学を含む理系の知識が日々の生活に活かせる部分は数多くあります。そこを追及して人間の後押しすることが我々のミッションです。

仕事へのこだわり

人のスキルをレーダーチャートで表した場合、多くの企業はよりバランスの取れた人材を採用したがると思います。しかし弊社の場合は代表の私自身が偏りのある人間だと自認していますし、総合商社で組織人として働いていた経験があるからこそ、自分が向いているのは無理にバランスを整えることではなく、いびつな形のまま伸びていくことだともわかっています。
したがって、同じように何らかのスキルが突出した人材を集めて、皆の特性や強みを生かした事業、プロダクトを展開していける会社でありたいというのが私の理想です。まさにそんな環境こそが自分に向いているということもあり、いわば自分のための組織を思考錯誤しながら作っているという感覚かもしれません。

今後の目標

私自身が同じタイプだからこそわかるのですが、理系分野が得意な人はコミュニケーションを積極的に取らない傾向があり、大学卒業後もキャリアに悩んでいる人が少なくありません。ただ私からすればせっかくビジネスに活かせる知識やスキルを持っているのに非常にもったいないと感じます。
よって、いきなり弊社で100万人採用、といったことはさすがに難しいのですが、せっかくのスキルを持て余してしまっている人達と少しずつ交友関係を持ち、できれば正当な対価をお支払いした上で共に新たなプロダクトを生み出していけたらと思っています。

若者へのメッセージ

昨今のソーシャルメディアの影響の大きさについては言うまでもありませんが、英語圏では「情報は情報、自分は自分」といった住み分けがある程度できている一方、日本人は「この有名人が言ったから」ということを拠り所にしてすっかり信じ込んでしまうような傾向が強いように感じます。すると、元来は弱きを助けるような正義感の強いところが日本人のいいところなはずなのに、少し規格から外れた人をむやみにラベリングしてしまうなど、狭い視野で物事を見てしまうのではないでしょうか。
したがって、皆さんにはSNSの雑音に惑わされず、人間として大事なことを見抜く力を養ってもらいたいものです。
「人は何のために生きているのか」という根本をきちんと考えられれば、誰もがある程度成功できるのではないかと私は思います。
最後に繰り返しになりますが、「第4のAIブーム」と言われている今は特に数学をビジネスに活かせるチャンスです。
理系関係の学生さんや「これまで数学をやってきたけれど、最近は全く」という方はぜひ、弊社と共に新たな何かを生み出していきましょう。